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親子は似るもの!? 様々なタイプの親子監督に注目

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親子は似るもの!? 様々なタイプの親子監督に注目

常に鋭い眼差しで現実を見つめ続け、『麦の穂をゆらす風』(06)では第59回カンヌ国際映画祭パルム・ドールに輝いた巨匠ケン・ローチ監督。彼の最新作『ルート・アイリッシュ』が3月31日(土)より公開されるが、それに続いて、息子のジム・ローチが初監督を務めた作品『オレンジと太陽』も4月14日(土)に公開を迎える。偶然にも親子で日本公開が重なったこの2作品、どちらも社会問題と誠実に向き合った硬派な人間ドラマだ。

『ルート・アイリッシュ』は、イラク戦争の背後にあった恐るべき軍事ビジネスの真相を暴き出した作品。主人公の友人がイラクで謎の死を遂げたことをきっかけに、スリリングな謎解きが展開される。一方の『オレンジと太陽』は、英国最大のスキャンダルと言われる“児童移民”を題材にした作品。かつて、イギリス政府は恵まれない施設の子供たちを密かにオーストラリアへと送り、過酷な労働に従事させていたことがわかっているが、本作はそんな社会の暗部に立ち向かった実在する女性を描いている。血は争えないというのか、これら2作品が扱ったテーマがどこか似通っているところに、親子たる所以といったものを感じさせられてしまう。

ところで、親子監督といえば、フランシス・フォード・コッポラとその娘ソフィア・コッポラ親子が有名だろう。父が製作を務めた『ヴァージン・スーサイズ』(00)でデビューを飾ったソフィアは、ガーリーなテイストの作品で、その後も独自の世界を築き続けているが、彼女と同様に父が製作を担当した映画で監督デビューするのが、『ヒート』(96)で知られるマイケル・マン監督の実娘アミ・カナーン・マンだ。初監督作となる『キリング・フィールズ 失踪地帯』(4月14日公開)は実際に起きた事件を基にしたクライムサスペンスで、こちらは父の遺伝子を受け継いだ骨太な仕上がりとなっている。男臭い作品で知られる父を持つ娘どうしでも、この違いは興味深いところだ。

同じ親子監督でも様々なタイプがあり、親子というくくりでそれそれの映画を見比べてみれば、色々な発見があって面白いのではないだろうか。その手始めとして、まずは同時期に公開されるケン・ローチ、ジム・ローチ親子の監督作品をお勧めめしたい。【トライワークス】

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