『マリリン 7日間の恋』のミシェル・ウィリアムズ「仕事と私生活のバランスが大事」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『マリリン 7日間の恋』のミシェル・ウィリアムズ「仕事と私生活のバランスが大事」

インタビュー

『マリリン 7日間の恋』のミシェル・ウィリアムズ「仕事と私生活のバランスが大事」

世紀のセックスシンボル、マリリン・モンロー没後50年となった今年、21世紀のマリリンがスクリーンに登場した。演じたのは『マリリン 7日間の恋』(3月24日公開)のミシェル・ウィリアムズ。劇中のヒロインは、マリリンとミシェルというふたりの女優の才能と個性が融合した、チャーミングでイノセントな女優だ。来日したミシェルにインタビューし、撮影秘話と、気になる休業宣言の真意を聞いた。

本作で描かれるのは、『王子と踊り子』(57)の撮影中にマリリンが体験した、たった7日間の秘められた恋。彼女の相手は、本作の第3助監督を務めた年下の英国人青年コリン・クラークだ。ミシェルはマリリンをセックスアイコンとしてではなく、一人の友人として見つめ、アプローチしていった。「とても尊敬している俳優さんから、素晴らしいアドバイスをもらったの。それは、マリリンの非凡性を大きく表現するのではなく、なるべく小さく演じる方が面白いってことだった。もちろん、セックスシンボル的なマリリンを演じなければいけない瞬間もあったけど、それは表面的なもので、私はもっと彼女の私的な部分に近付こうとしたわ」。

マリリンの出演した映像作品や番組の映像、書物などを見て、徹底的に役作りをしたというミシェル。「みんなが口をそろえて言うのは、いかに彼女が普通の女の子であったか、顔もそんなに目立って綺麗ではなかったってこと。ただ、カメラの前に立つと、全てがピシッとはまる。あるカメラマンは『ファインダー越しに5kg痩せて見えるのはマリリンだけだ』というコメントも残しているの。ノーマ・ジーンがどうやってマリリンという女性を生み出したのかに、非常に興味を持ったわ」。

劇中のマリリンは、とても精神的に不安定だ。「彼女がナーバスになってしまうことは、正直理解できるわ。ただ、私は幸運なことに、マリリンに比べれば幸せな子供時代を過ごし、友人たちも家族のような存在で自分を取り巻いてくれている。何よりも娘がいるし。みんなが安心感を与えてくれているから、私は仕事で追いつめられたとしても、破滅的にはならないわ」。

とはいえ、本作の撮影中、心が折れそうになったこともあったそうだ。「自分はまだまだ足りないんじゃないか、未熟なんじゃないかって、自分自身を疑ってしまう瞬間があったの。役柄上、常にもろい気持ちで現場にいたので、そういうふうに感じたのかもしれない。『王子と踊り子』の撮影中のマリリンがまさにそうだったから、自分自身もシンクロしてしまったんでしょうね」。

しかも、『王子と踊り子』と同じパインウッド・スタジオや、マリリンが滞在したパークサイド・ハウスなど、マリリンにゆかりのある場所でロケを敢行した。ミシェルは「演じていて神秘的だと感じる瞬間もあったの。この役をやれて、本当に良かったわ」とも語ってくれた。

では、ミシェルのキャリアにとって、本作はどんな位置付けの作品になったのか? 「この仕事は、これまでやってきた中で最大の挑戦だったわ。毎回、自分じゃないキャラクターになろうと思ってはいるけれど、今回は一番自分から遠いところにいるマリリン役だったから、長く遠い旅をしてようやくたどり着けた気がするの。でも、そんなマリリンが演じられたってことで、自分が少し大人になったなと感じたわ」。

最後に、まことしやかに囁かれている休業宣言について聞いてみた。「本作を撮った後、サム・ライミ監督の『Oz:the Great and Powerful』の現場に入って、6ヶ月間という今までで一番長い撮影期間を過ごしたの。本作のプロモーションもずっと長くやっていたので、自分の中でちょっと仕事の量が最近増えすぎたかなと思うところがあって。だから、ちょっとお休みをさせてくださいって感じなんです。やっぱり自分の人生において、仕事と私生活のバランスは大事だと思うから。でも、映画に対する愛情が失われたわけでもないわ」。

それを聞いて一安心。公私共に順風満帆で、ミシェル自身の心のひだも役に反映され、より深みのあるキャラクターとなった『マリリン 7日間の恋』のマリリン・モンロー。映画を見て、このマリリンに恋をしない方が嘘だと実感する。【取材・文/山崎伸子】

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