朝ドラ「カーネーション」の人気脚本家が新人監督と描いた京都のリアルな青春ドラマとは?
先日、惜しまれつつも最終回を迎えたNHK朝の連続テレビ小説「カーネーション」。ほかのテレビドラマとは一線を画す映画的演出や、登場人物の機微を見事に表現したセリフなどが評価され、『モテキ』(11)の大根仁監督や、浅草キッドの水道橋博士、映画評論家の町山智浩ら業界関係者も、様々なメディアでドラマを大絶賛していたほどだった。その「カーネーション」の脚本を担当したのが、島根在住の脚本家・渡辺あやだ。
島根で雑貨店を経営しながら主婦として生活をしていた渡辺は、1999年に岩井俊二監督オフィシャルサイト内のシナリオ応募コーナーへの投稿をきっかけに、2003年『ジョゼと虎と魚たち』で脚本家デビューを果たす。以降、『メゾン・ド・ヒミコ』(05)や『天然コケッコー』(07)などの作品へ脚本家として参加する一方で、尾野真千子と故・原田芳雄が共演した「火の魚」や、阪神淡路大震災から15年後の神戸を舞台に、森山未來と佐藤江梨子が共演した「その街のこども」(2011年には劇場版も公開)など、NHKのドラマ脚本も執筆し、高い評価を得ている。
そんな彼女の映画脚本として最新作となる『カントリーガール』が、5月5日(土)に劇場公開されることになった。京都にアートコミューンを作る資金のために、外国人観光客からお金を騙し取る高校生のハヤシを主人公に、伝統の町・京都で生きる彼の葛藤と、町で偶然出会った見習いの舞妓との交流を描いた青春ドラマだ。物語の中心となる高校生たちを演じた出演者のほとんどが演技未経験という大胆な配役から生まれた、瑞々しい演技と、リアルな佇まいは、他の映画やドラマでは見られない新鮮な魅力に満ちている。
本作で監督を務めているのは、第10回京都国際学生映画祭でグランプリを受賞した小林達夫。小林監督のグランプリ作『少年と町』を見た、同映画祭審査員だった渡辺あやが「すごく新しいものを見た感じがした」と評した注目の新人監督だ。今回、劇場公開される『カントリーガール』は、グランプリ受賞の数ヶ月後に、小林監督からの「長編映画を撮ろうと思っている」というメールに、渡辺が「脚本を書きたい」と応えたことがきっかけとなり製作がスタート。地元京都での劇場公開を経て、この度、遂に東京で劇場公開を迎えることになった。
映画、ドラマ業界で注目を浴びる脚本家による次の一手は、彼女がほれ込んだ新人監督とのコラボ。きっと多くの観客を驚かせてくれることだろう。【トライワークス】