小栗旬、未来の子供への思いを聞かれ「心の中にありますが言わないです」
宮沢賢治の童話を、『銀河鉄道の夜』(85)のチームが手掛けた劇場用アニメ『グスコーブドリの伝記』(7月7日公開)の完成会見が、4月4日に明治記念館で開催。登壇したのは、本作の声優を務める小栗旬、忽那汐里、柄本明と杉井ギサブロー監督。山田優と結婚したばかりの小栗は「本作で、ご自身の生まれ来るお子さんへの思いってありますか?」という質問に対して「僕自身の心の中にはありますが、言わないです。その質問、来ると思ってました」と苦笑しながらはぐらかした。
本作は、イーハトーヴの森で両親と妹と平和に暮らしていたグスコー・ブドリが、天災のために家族と別れ別れになりながらも、精一杯生きていくという愛と希望のファンタジーだ。小栗は主人公のブドリを、忽那はブドリの妹ネリを、柄本はクーボー博士の声を担当する。
小栗は「『銀河鉄道の夜』を子供の頃に見て、ジョバンニのキャラクターが印象に残っていたので、今回嬉しい反面、大丈夫かなと思いました。でも、僕は杉井監督の『タッチ』のシリーズが大好きで、その方にお会いできるのが非常に嬉しかったです」と語った。忽那は「声優初挑戦で、地声がすごく低いので、監督からとにかく幼く幼くって言われて不安でしたが、画面と向き合う作業が新鮮で、集中できて楽しかったです」と手応えを感じた様子。柄本は「声の仕事ってあまりやったことがなくて、監督に導かれながらやりました」と語った。
本作は完成しつつも、現在もまだ編集で微調整をしているという杉井監督。「企画から5年くらいかかった作品です。子供が産まれるってこういうことかなと。賢治の作品は2度目ですが、賢治作品ってことで、全員が賢治世界を自分の中に取り込んで参加してくれたので、監督はほとんど何もしてません。前スタッフ、キャストの方々に世界を広げてもらったという思いが強いです」。
本日、主題歌が小田和正の「生まれ来る子供たちのために」となったことが発表された。杉井監督は「企画段階でお願いしていました。この歌と、賢治が童話の中に込めた思いがとてもシンクロしていました」と語る。小栗も出来上がった作品を見て、この作品のために作った曲じゃないのに、全体を集約しているようになっているところがすごいです」と、感心していた。
宮沢賢治ワールドを丁寧に描いた『グスコーブドリの伝記』は、あらゆる世代に贈る希望の映画だ。最後に小栗は、力強くこう締めくくった。「監督がずっと思い描いていた世界が、すごい広大な世界観で広がっていく作品です。宮沢賢治の世界も含め、日本人らしさが入ってる作品を見て、もう一度自分たちの国のことを考える機会になればと思っています」。【取材・文/山崎伸子】