『名探偵コナン』の主題歌に抜擢! いきものがかりの武器は「チームワークという名のバランス」
大人気推理アニメの16作目となる劇場版『名探偵コナン 11人目のストライカー』が4月14日(土)より公開。毎回、難事件に挑むコナンと仲間たちの姿が、胸を熱くする人気シリーズだ。今回は、コナンの特技でもあるサッカーをテーマに、日本中を巻き込む爆破事件の謎と真相に迫る。主題歌には、今や国民的グループとなったいきものがかりが抜擢され、本作のために新曲『ハルウタ』を書き下ろした。「儚さもありながら、強い作品になった」と胸を張る3人。主題歌への思いをたっぷりと聞いた。
抜擢の感想を尋ねると、今回、作詞・作曲を担当した山下穂尊は、「小学校の頃から『名探偵コナン』の漫画を読んでいて。その頃の自分に『主題歌をやるよ』って教えてあげたい」と微笑むと、ボーカルの吉岡聖恵も「私は『コナン』のアニメの主題歌が大好きで! 中学校の頃とか、聞いたり歌ったりしていたなあ。歴史のある作品に関われて、本当に光栄です!」と喜びを口にした。
「ハルウタ」に込めた思いは“青春”だと明かす。山下は「今回はサッカーがテーマだし、“青”を象徴的に使おうと思って。それと『コナン』のイメージって、僕の中で“青春”なんです。だから僕らなりの青春感が出せたらな」と言うと、リーダーの水野良樹も「後はこの作品特有の疾走感。やっぱり絶対に事件が起きるので、スリルとかドキッとする感じは必要だと思った。この曲は、そういったものと切なさがしっかり出せたんじゃないかな」と語ってくれた。
歌ううえで気をつけていることを尋ねると、吉岡は「春って、気持ちがすごく揺れ動く季節。前を向く強さもあるけれど、どこか儚くてウズウズする。この曲はそういうムードがありながらも、ストーリーが断定されていないんですよね。たとえば、“薫る風”という歌詞がありますが、薄いピンク色なのか、エメラルドグリーンなのかとか、気持ちによって様々な色がイメージできる。たくさんの人が気持ちを重ねてもらえるように、透明感を大事にして、流れるように歌っています」。
その言葉通り、幅広い層の心を打つのが彼らの最大の魅力だ。吉岡は本シリーズの人気の秘訣を「誰でも受け入れてくれる、懐の深さ」と語る。水野も「スタンダードな感じがするのに全然マンネリ化しないところ。守るべきものを守りながら、新鮮味を出していくというのはすごいこと。もの作りの仕方として憧れます。安心して見られるスリルって、あまりないですから!」とコメントした。続けて「子供の頃に『コナン』を見ていた人が、大人になって、今度は自分の子供を連れて映画館に行くこともある。僕らも、そういうライブができるグループになりたいという思いが強くて。色々な世代の方に聞いてもらいたいな」と明かしてくれた。
その思いは路上ライブで生まれたものだという。吉岡は「最初は何も考えずに路上で歌っていて。その中で、子供が立ち止まってくれたとか、おじいちゃん、おばあちゃんが来てくれたとか、そういう状況が嬉しいなって3人で感じたんです」。山下も「先日、アルバムを出したんですが、僕が高校の時に作った曲が入っているんですよ。バンドを始めた高校生の頃から、10年、20年経っても良いものを作りたいとの思いは変わらない。その延長線上を今も歩いていて、その大先輩がコナン君なんですよね」と語り、それぞれが今回のコラボレーションを励みにした様子がひしひしと伝わってきた。
コナンの武器は推理力とチームワーク。いきものがかりの武器は? 「チームワークはすごい感じますね。前に進むために、一人ずつが自分の受け持ち場所に責任感を持っているし、それぞれが自分の足りないものをわかっていて、それを誰かが補っていると認識している」と山下が言うと、吉岡が「良いこというね! 自然な三角形ができているんです」と親指を立てた。水野も「バランスという名のチームワーク。どんどん環境が変わったり、規模が大きくなったりしているけれど、支え合っているというチームワークをいつも感じています」と、本当に息もぴったりだ。
結成当初から、自然な空気が流れていたと口を揃える3人。いきものがかりは、どこかに自分を重ね合わせられながらもバラエティに富んだ楽曲で、私たちの心に寄り添うグループだ。仲間との信頼関係を軸に事件の謎を解いていく『名探偵コナン』との相性はまさに抜群!。是非、事件の真相と共に、いきものがかりと本作の化学反応を楽しんでもらいたい。【取材・文/成田おり枝】