風俗嬢から国境警備隊まで、様々な夜の仕事を観察した異色のドキュメンタリーって?|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
風俗嬢から国境警備隊まで、様々な夜の仕事を観察した異色のドキュメンタリーって?

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風俗嬢から国境警備隊まで、様々な夜の仕事を観察した異色のドキュメンタリーって?

食品が大量生産される様子だけを淡々と撮影した映画『いのちの食べかた』(06)がロングランヒットを記録したニコラス・ゲイハルター監督。彼が次に目をつけたのは人々が寝静まった深夜の大都市だった。そこでは数え切れないほどの人たちが多種多様な職業に従事している。そんな人々の姿を観察したゲイハルター監督の新作ドキュメンタリー『眠れぬ夜の仕事図鑑』が7月28日(土)より公開される。

本作は様々な人間たちがうごめく夜の世界を、職業という切り口から解剖しようとする試みだ。DJ、郵便仕分け人、自殺防止ホットラインの相談員など、昼とは全く違った仕事が活発になり始める夜。そんな眠らない、というよりも眠れない大都市の姿を、本作は一切のナレーションや説明もなく客観的にとらえていく。まるで昼の穏やかな生活が途切れないよう、人々が夜のうちに街のネジを巻き直しているような光景に出会うことができるのだ。

劇中では本当に色々な職業が紹介されるが、そのなかにはあまり馴染みのないものも多い。たとえば国境警備隊や戦闘機工場の作業員などがそれだ。そのほか、いわゆる夜の仕事の代表格である風俗嬢たちにもスポットが当てられるのだが、本作に登場する売春宿は少し変わっている。というのも、料金が格安であるかわりに、室内の行為が全てネット会員に配信されているのだ。夜の世界には果てしない欲望が広がっているのだということを再認識させられてしまう。

本作に収められているのは主にヨーロッパの都市だが、その光景は私たちの日本とほとんど変わらない。そこに映し出されているのは、あたかも不眠症にかかってしまったような都市の姿だ。是非とも本作で大都市の裏側に隠された、もう一つの世界をのぞいてみてはいかがだろうか。【トライワークス】

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