第65回カンヌ国際映画祭、加瀬亮主演作や三池崇史監督『愛と誠』が上映されニッポンナイトに!
現地時間5月21日の第65回カンヌ国際映画祭はさながらニッポンナイトに。アッバス・キアロスタミ監督が日本を舞台に撮り上げた『LIKE SOMEONE IN LOVE』(今夏公開)に続き、三池崇史監督『愛と誠』(6月16日公開)が現地時間の0時30分からリュミエール劇場で上映された。
キアロスタミ作品に慣れない観客にはラストの解釈ができないことがストレスになったようだが、監督は「観客それぞれが考えれば良い」と気にもしない。キャスト自身、「わかりません」というのだから、それで良いのだろう。違う文化でも、人間の感情など共通するものがあるという考えなのだそう。出演者の加瀬亮によれば、「男性キャラクターには監督の内面が反映されていると思う」とか。引退した老教授が、娘に似たデート嬢の恋愛トラブルに巻き込まれていく物語だ。
『愛と誠』は決めセリフやポーズ、突然挿入される1970年代歌謡曲によるミュージカルシーンに笑いや拍手が巻き起こり、フランスには若い三池監督ファンが少なくないことを確認させてくれた。上映が終わったのは2時を回っていたが、観客の興奮は冷めやらず、口々に「三池はやっぱ最高だよな」(らしき英語やフランス語)と話しながら、彼らは冷たい雨の降るカンヌの街に散って行ったのである。
これで日本作品で残っているのは若松孝二監督『11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち』(6月2日公開)だ。是非とも日本映画の存在感を示してもらいたい。【シネマアナリスト/まつかわゆま】
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