マット・デイモンVSジョージ・クルーニー、イクメン対決の軍配は?
マット・デイモンとジョージ・クルーニーのふたりは、言わずと知れた名優であり、盟友でもある。ジョージ製作総指揮の 『オーシャンズ』シリーズや、『シリアナ』(05)などで共演したり、 ジョージの監督デビュー作『コンフェッション』(02)にマットがカメオ出演したりと、タッグ作も数多い。そんなふたりが、イクメンとして多感な子供たちと向き合う父親役を好演した映画2本に注目したい。
1本は公開中のジョージ主演作『ファミリー・ツリー』、もう1本が6月8日(金)から公開されるマット主演作『幸せへのキセキ』だ。このふたりのちょっと駄目なパパぶりが、甲乙付けがたいほど良いのだ。
『ファミリー・ツリー』は、ジョージ・クルーニーが初めて等身大のオヤジ役に扮し、第84回アカデミー主演男優賞にノミネートされた話題作だ。祖先の土地を受け継ぎ、ハワイで妻とふたりの娘と平穏に暮らしていたマット(ジョージ・クルーニー)。ある日、妻のエリザベスがボート事故で昏睡状態となり、さらに彼女が不倫をしていたことが発覚。まさに泣きっ面に蜂。とはいえ、マットは初めて自分の人生や娘たちと向き合い、手こずりながらも、家族の絆を深めていく。
『幸せへのキセキ』は、英国人ジャーナリストのベンジャミン・ミーがダートムーア動物園を開園させるまでの実話に基づいた感動作。マット扮するベンジャミンは最愛の妻に先立たれ、残されたのは、反抗期真っ只中の長男と幼い長女。自分自身も妻を失った喪失感を抱えながら、家族で廃園寸前の動物園を再生しようとする。
両者とも時々トホホで、時々頼もしいパパぶりが本当に最高なのだ。ご存知、モテモテちょいワルオヤジで知られる独身のジョージは、年頃の娘の扱いに苦労する姿がかなりリアル。これって演技なのか? 素も混じった技なのか? 一方、私生活では4人の子供の父親であるマットは、子供を愛する父親役ということでのリアリティを追求。特に小さな娘とのやりとりは実に微笑ましい。両方ともかなりなはまり役である。
両作を見てみると、改めてジョージとマットの作品の目利きに感心する。言わずもがな、感動作としてのクオリティーは保証付き。ふたりとも、親子だからこそ、一筋縄ではいかない関係性を生き生きと表現し、しかも最後にはその絆の深さを実感させてくれるのだ。是非ともこの2本を劇場でご覧になっていただきたい。【取材・文/山崎伸子】