『臨場 劇場版』内野聖陽が「根こそぎ拾うスピリットを学んだ」と役者魂を熱弁
社会派ミステリー作家・横山秀夫の原作を基に、検視官の活躍を描いた大ヒットドラマが、『臨場 劇場版』(6月30日公開)となってスクリーンに登場。6月7日(木)、完成披露試写会が丸の内TOEIで開催され、内野聖陽、松下由樹、渡辺大、平山浩行、若村麻由美、柄本佑、長塚京三、そして橋本一監督が登壇した。内野演じる「死者の人生を根こそぎ拾ってやる」との信条を胸にした、敏腕検視官・倉石義男のキャラクター性が人気の本シリーズ。この日は、野菜を育てるのが趣味という一面を持った、倉石の自宅ベランダの模様が再現され、新緑の中でフォトセッション! 内野は「倉石を演じて、『根こそぎ拾う』という心意気、気概を役から学びました。役者としても、このスピリットを大事にしていきたい」と充実した表情で挨拶した。
2009、2010年とテレビ放送され、豪放で型破りながらも、人情あふれる倉石の生き様や、被害者、加害者、遺族の心までをすくい取ったストーリーの奥深さが話題になった。劇場版では、2年前に発生した無差別通り魔事件で、実行犯を無罪に導いた関係者を襲った殺害事件に倉石が挑む。メガホンを取るのは、ドラマシリーズから演出を務め、『探偵はBARにいる』(11)のヒットも新しい橋本一監督。「素晴らしいキャスト、スタッフに支えられ、力強い作品ができたと自負しています」と胸を張ってアピール。内野も「脚本を読んだ時に、すごい力作だと思って。情熱を倍返しにして参加しようと思った」と映画化への思いを明かし、続けて「僕は倉石という役にすごくほれていて、小さなところから自分の違和感を拾って、拾い尽くしていくという男の生き様が好き。憧れとロマンを持って倉石を演じています」と、役柄への愛情を語ってくれた。
また、レギュラー陣の松下が「積み重ねって大事だなと思った。現場でも上司と部下の関係が自然とできているようで、あうんの呼吸ができていた」と語ると、渡辺は「僕は内野さんを子犬のように慕っていますから、尻尾を振ってついていきました!」とコメント。平野も「僕も尻尾を振りましたよ(笑)。毎日学ぶことが多く、勉強になりました」と、内野を中心としたチームワークも抜群だったようだ。
そして、劇場版からの参加となる長塚は、「勇気のあるテーマの提示の仕方をしていると思う。考えさせられる作品です。大変テーマが重いので、押しつぶされそうになった」と、作品の持つ力に太鼓判を押した。被害者遺族を演じる若村も「長塚さんと柄本さんと私は、和気あいあいとしたレギュラー陣と違って、役柄の人生を思うとかなりの緊張感を持って、孤独感もありながら臨んだと思う」と撮影を振り返り、「スタッフのチームワークが良かったので、良い緊張感の中でできた」と、臨場チームに敬意を評した。
最後に内野は「死を見つめることで、人を愛することなど、生きることの前向きな部分を大事にして取り組んできました。味わい深い作品になっています」と力強くアピール。キャスト一同が「役柄に対して、根こそぎ拾った!」と声をそろえる本作。倉石の気迫とパワー、実力派キャストが織り成す骨太な人間ドラマを是非、劇場で堪能してほしい。【取材・文/成田おり枝】