シャーリーズ・セロン、邪悪な王妃役で鳥の心臓をパクリ「美味しかったわ」

インタビュー

シャーリーズ・セロン、邪悪な王妃役で鳥の心臓をパクリ「美味しかったわ」

「白雪姫」をベースにしたアクションアドベンチャー『スノーホワイト』(6月15日公開)で、ラヴェンナ女王役を演じたシャーリーズ・セロン。邪悪さを象徴するカラスのようなドレスをまとったシャーリーズの怪演は、本作の肝とも言える。来日したシャーリーズにインタビューし、残酷な名シーンの撮影裏話から、3月に養子を迎えた今の心境まで、話を聞いた。

「お伽話の登場人物だけど、私はどんな役でも常にリアリティーを追求して演じるの」というシャーリーズ。「ラヴェンナがただ意地悪な人ではなく、彼女がどうしてそういう人間になったのか、どうしてそういう行動をとるのかを一生懸命理解しようとしたの。その心の内を理解して演じる時が、一番楽しめる瞬間だから。今回もそういう意味で共感する部分があったわ」。

果たして彼女は、ラヴェンナのどんな点に共感したのか? 「外見に全てをかける女性って世の中にいると思うんです。実際にラヴェンナは、ほしいものを手に入れるためには非常に悪いことにも手を染める。私は彼女を正当化するわけじゃないけど、そういうふうに必死になる気持ちはわからなくもないわ。虚栄心からかもしれないけど、とにかく若くいたい、美しくありたいと思う。幸せが何かってことを理解していない人ね。だからこそ、彼女は非常に悲劇的なキャラクターだとも思う。この映画は、彼女のようになってはいけないという警告でもあるわ」。

ラヴェンナが、血のしたたる鶏の心臓を食べるシーンが強烈だ。でも、実はあの心臓の正体はブドウだと種明かしをしてくれた。「現場に行ってみたら、本当の鳥に見えたの。私、鳥とか動物が大好きなのに、誰かが鳥を殺して持ってきたのかと思って、本当にびっくりしたわ。でも実は作り物だった。心臓はブドウで、赤カブのジュースに浸してあったから、血に見えたのよ。食べたら、美味しかったわ」。

「鏡よ、鏡」というセリフについても、リアリティーを意識したという。「『鏡よ、鏡』って、『マイネーム・イズ・ジェームズ・ボンド』と同じくらい有名なセリフでしょ。それをどうやるかって考えた時、私はあの鏡が自分の意識であり、自分の狂気を映すものでもあると考えたわ。だから堂々と言うんじゃなくて、自信のなさや恐怖感、恐ろしさの感情も出したから、リアリティーが出たんじゃないかしら」。

もし、真実を語る鏡が手に入ったとしたら?という質問を投げかけると、シャーリーズは「できるだけ早く捨てるわ。でも、私が今持ってる鏡でも十分真実を語ってくれるから、他にいらないの」と苦笑い。

いやいや、十分、お綺麗です!と訴えながら、美を保つために日頃から気を付けていることについても聞いた。「ワークアウトしたり、良いものを食べて、しっかり寝る。でも、今は赤ちゃんがいるから、なかなか睡眠時間を取れないんだけど。また、友人や家族を大切に思うことはいつも心掛けているわ」。

そう、今年3月に第一子となるジャクソン君を養子に迎えたシャーリーズ。母になったことで、仕事に対する姿勢や作品選びは変わったのだろうか? 「私は新米のママだから、これから変わっていくかもしれない。もちろん、すごくインスパイアされるし、今の世界の状況に大きな疑問を投げかけるようにはなったし、もっといろんなことを理解したいという気持ちになったわ」。また、出演作については「私は彼が40歳くらいになるまで見せられない映画ばかりやってきたから、今後は子供向けのものをやりたい。アニメの声優で、すごく良い人の役とか、良いお母さんらしい役をやってみたいわ」と語った。

劇中のラヴェンナ女王が、ありきたりな悪女に収まらなかったのは、シャーリーズの懐の深い役作りゆえんのものだった。『スノーホワイト』、そしてその後もリドリー・スコット監督作『プロメテウス』(8月24日公開)と、野心作が続くシャーリーズ。母となり、私生活でも新たなステージに上がった彼女が、今後どんな新しい顔を見せてくれるのか、実に楽しみだ。【取材・文/山崎伸子】

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