妻夫木聡、『愛と誠』で女優相手にガチの殺陣「殺すか、殺されるかの瀬戸際だった」

インタビュー

妻夫木聡、『愛と誠』で女優相手にガチの殺陣「殺すか、殺されるかの瀬戸際だった」

梶原一騎の同名コミックを映画化した『愛と誠』(6月16日公開)で、誠役を演じた妻夫木聡にインタビュー。『愛と誠』といえば、西城秀樹と早乙女愛を迎えた1974年の同名純愛映画が有名だが、妻夫木×武井咲×三池崇史監督版『愛と誠』は、かなり毛色の違う型破りな快作となった。妻夫木が語る「だまされたと思って見に来てください!」の真意とは?

妻夫木演じる不良・太賀誠と、武井咲演じる純粋なお嬢様・早乙女愛の激しい恋を描く本作。アクションをしながら歌謡曲を歌うという点は、かなり破天荒だ。「現場に入る前に、三池さんから『上手く歌うんじゃなくて、誠っぽさが出てほしい。誠の気持ちがぽんと出ちゃって、その表現が、ただ踊った、歌ったってだけなんだ』って言われて。誠がムカついた時、殴るじゃなくて踊る(笑)。なるほど、発想の転換ですね。その後はあまり考えすぎず、やっていきました。三池さんの頭の中では、最初からやりたいことがはっきりしていたんです。どうなるかわからないけど、新しいものを作っちゃおうって感じで。だから僕も安心してついていけました」。

どこまでも硬派な男・誠について、「男はこうありたいってものを持っています」という妻夫木。「とはいえ、誠は無茶苦茶すぎるから、全部が全部は、さすがに無理ですが。衣食住を与えられても、平気で『うるせえ!』っ言える。一切揺れないでしょ。それって、すごく硬派だと思うんです。ここまで貫けるのって逆にすごいし、ちょっと憧れます」。

今回、座王権太役の伊原剛志など、強面の俳優陣とのアクションはもとより、安藤サクラ扮するガムコら女優陣との派手なアクションも見ものだ。妻夫木は「殺すか、殺されるか瀬戸際でしたよ」と苦笑い。「女性だからアクションとかやったことがなくて、その場で殺陣をつけられるんです。『ここで、殺しにかかれ! 殴れ! 死に物狂いで突っ込め!』って言われてて。実際に彼女たちとやってみると、テストとは全然違う形になるんです。うわっ!これ、シャレになんねえって(笑)。本当に鬼気迫る感じでした。こいつを倒さないと俺がやられるって感じで。かなりガチでした。『バイオハザード』より怖かったですから」。

会見でも舞台挨拶でも、「この映画は、ジャンル分けできない」と言っていた妻夫木。「いろんなところを攻めている、他にたとえようがない映画なんです。ジャンルもないし。ミュージカル、純愛映画、アクション映画と、それぞれにどれも当てはまるんだけど、それだけじゃ済まないし、言い切れないんです」。

一足先に、5月に開催された第65回カンヌ国際映画祭ミッドナイトスクリーニング部門で上映された『愛と誠』は、現地で絶賛された。「見なくてはわからない映画です。とりあえず、だまされたと思って見に来てください。でも、だましてたらゴメンねって(笑)」と、アピールする妻夫木聡。確かに、型破りでジャンル分けできないということは、映画を見れば十分に納得できる。その強烈な個性派映画を、是非、その目で確かめほしい。【取材・文/山崎伸子】

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