鳥を求めて北米大陸40万km大移動! 鳥好きの熱い戦いここにあり
バードウォッチングといえば、自然の中をゆっくりと歩き、鳥の姿を眺めたり写真を撮ったりというイメージだが、『ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して』(公開中)で描かれているバードウォッチングは、そんなイメージをぶち壊すほど、すごいものだった。
アメリカでは年に一度、「ザ・ビッグ・イヤー」と呼ばれる記録会が開催されている。この大会は、アメリカ探鳥協会が主催するもので、一年間に北米大陸で見つけた野鳥の種類の数を競うというもの。鳥好きな人々にとって、この大会に出場することは“一生に一度きりの夢”。なぜなら、この大会に出場した人々は皆、仕事や家庭に支障をきたすほどの時間と大金を注ぎ込み、一年間に40万km以上の距離を移動して鳥探しに明け暮れる日々を送ることになるからだ。
本作では、この大会に出場することになった鳥好き3人の姿をコミカルに描き出す。晩年を迎え、夢を叶えようと一念発起した裕福な実業家、最高記録保持者でありながら、記録を破られることを恐れるあまり、離婚を繰り返しているやり手の建設業者、そして未だに親に頼りきりで、趣味の世界に没頭しているコンピュータ技師と、それぞれに問題を抱えた3人の男たちが自分たちの夢を追い続ける姿は、どこかおかしく切なく、そして愛しい。ライバルたちを出し抜こうと、あらゆる手を使ったり、時には手を組んだりと、大会に入れ込む3人の姿に、きっと夢中になってしまうだろう。
また、アメリカの美しく広大な自然、その中に生きる鳥たちの姿は見ているだけで癒される。大人になりきれない鳥好きたちの熱すぎる戦いと共に、彼らを虜にする大自然を是非楽しんでもらいたい。【トライワークス】
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