和製「不思議の国のアリス」との呼び声高し!人体模型と骨格標本がぬるぬる動く海外でも話題のCGアニメ
むき出しの眼球、詳細に表現されているゆえにグロテスクな筋肉や血管、そしてパズルのようにもてあそばれる内臓の数々。とある小学校の理科室の住人でもある人体模型を主人公としたCGショートアニメ「放課後ミッドナイト」。
福岡を拠点に活動する映像作家・竹清仁監督が2008年に発表した同作は、世界各国の映像フェスティバルで数多くの賞を獲得しただけでなく、フランスの大手テレビ局Canal+が放送権を買い付けたほどの高い評価を獲得。セリフらしいセリフもなく、人体模型が体にたかる虫を追い払うなかで取り出してしまった自分の体の一部を回収していく姿を描くといった、わかりやすく普遍的なユーモアにあふれた同作に魅了された海外の映画関係者が、長編映画化の企画が持ち上がっていることを知るや、自国での公開を熱望したほどなのだ。その待望の初長編映画こそ、8月25日(土)に日本ほか、5ヶ国同時公開となる『放課後ミッドナイターズ』だ。
『252 生存者あり』(08)の原作者・脚本家でもある小森陽一を脚本に迎えた本作には、大人顔負けのスーパー幼稚園児マコ、ミーコ、ムツコというキャラクターが登場。学校見学会で名門・聖クレア小学校に足を踏み入れた彼女たちに「気持ち悪い裸んぼさんを可愛くしてあげよう」と言われ、屈辱的ないたずら描きをされたキュンストレーキ(声:山寺宏一)が、相棒のゴス(声:田口浩正)ら真夜中に活動する“ミッドナイターズ”を巻き込んで展開する、少女たちとの攻防を大胆かつスタイリッシュなカメラワークで描いていく。
夜中になると動き出す理科室の標本や音楽室に飾られている楽聖の肖像画など、学校を舞台にした怪談でおなじみのキャラクターにコミカルな味付けをしている世界観もさることながら、本作の一番の魅力は人間の実際の動きをトレースするモーションキャプチャーならではの、キャラクターたちのなめらかな動き。本作の見どころでもあるキュンストレーキと骨格標本たちによるダンスシーンは、本場アメリカのCGアニメに勝るとも劣らないクオリティなのだ。
どこかミステリアスな「真夜中の小学校」で繰り広げられるダークファンタジーとしての側面を持つことから、和製「不思議の国のアリス」とも称される本作。まるで夢の国にある豪華な幽霊屋敷に紛れ込んだような気分にさせてくれるアトラクションムービーとして、幅広い層が楽しめること間違いなし!【トライワークス】