大島優子、“ウシジマ”山田孝之に「殺される!と思いました」

インタビュー

大島優子、“ウシジマ”山田孝之に「殺される!と思いました」

真鍋昌平の人気コミックが原作のドラマを、スケールアップして映画化した『闇金ウシジマくん』(8月25日公開)。主人公の闇金カウカウファイナンスの社長・丑嶋馨役の山田孝之は、さらに貫禄とすごみを増して、債務者から借金を冷徹に取り立てていく。ヒロインは女優としても活躍するAKB48の大島優子だ。今回、山田と大島にインタビューし、撮影秘話を聞いた。

メガホンを取ったのは、プロデューサー・脚本家・監督として深夜帯の同ドラマを手掛け、今回、映画監督デビューを果たした山口雅俊監督。山田は監督について「山口さんとは18歳の時にドラマでご一緒して、それ以来、かなり時間が空いていたのに、『ウシジマくん』のドラマの話をいただいたので、すごく嬉しかったです。初監督作の“初”は一度しかないから、そこに参加できることが楽しみでした。映画では、30分枠のドラマでは描き切れなかったものを見せたいと思いました」と語った。

大島が演じるのは、母親の借金を「出会いカフェ」で働きながら返済していく鈴木未來役だ。未來がウシジマに金を渡すシーンでは、山田の迫力に驚いたという大島。「ウシジマ社長になり切っている山田さんが怖かったです。『金を出せ!』って言われてお金を渡し、社長の目を見た時、未來としてだけではなく、大島優子として『殺される!』と思ったくらい、衝撃が走りました。自然と後ずさりしましたから」。

山田は「ウシジマとして人と対峙する時、常に殺ろうとしてるんです。そのくらいの気持ちでいました」と言う。「たとえば純(林遣都)と接している時は、最短距離でアゴへぶちかませることをずっと頭の中で考えていました。相手が未來でも、ちょっとふざけたことを言ったら、ガッと髪の毛をつかんで蹴るくらいの気持ちで見ていました」。山田の言葉を聞いた大島は「今、聞いても怖いです」と思わずのけ反ると、山田は「実際はしないですよ(笑)。でも、それくらいしないとウシジマの空気感は伝わらないと思っていました」と、笑顔を見せた。

山田は現場での大島の姿勢について、こんな賛辞を送った。「大島さんは、普段からきっと誰よりも一番動いていると思ったし、その分、疲れて現場へ入ってくるだろうから、大丈夫かな?と思っていました。そんな状態で未來役をやって、精神を崩壊させてしまわないかと心配したんです。でも、いざ現場で会ったら、全く疲れた感じがないというか、見せないようにしていたんだろうけど、そのプロ意識の高さ、集中力の高さがすごいと思いました。僕は疲れるとすぐ疲れたとアピールする方なので」。

大島は「いや、そんなことないですよ」と恐縮する。本作で北米での日本映画祭「第6回JAPAN CUTS ジャパン・カッツ!」 で、「Cut Above Award for Outstanding Debut」を受賞した大島は「まだ公開されていないから、ドキドキしています」と言いながらも、「映画では、今まで自分が出せなかった表情を見ることができたので、それらを引き出していただいたという驚きと喜びを感じました」と、手応えを感じているようだ。

最後に、『闇金ウシジマくん』シリーズの魅力についても聞いてみた。大島は「人間の感情がストレートな点です」と答える。「本性むき出しのキャラクターがたくさんいるんです(笑)。普段、大きい小さいの差こそあれ、たいていの人が自分の感情を押し殺したり、本性を隠したりして生きていると思うんですけど、それらを素直に出していることが痛快でした。過激ではあるけど、とても人間らしい。私はそこに一番惹きつけられました」。

『闇金ウシジマくん』をドラマから演じてきた山田は、同質問にこう答えてくれた。「人生、楽しいことや楽なことだけして生きていけるのが一番楽ですが、それでは人として、発展していかないと思うんです。人が社会の一員として生きていく中で、どうしても見たくない人間のダークサイドがあって、『ウシジマくん』はそういうところを極端なくらいにあぶり出していく。人間ってこんなに汚いんだと示し、でもそこを見るからこそ、人の良さとか温かいものも感じられるんです」。

ふたりの言葉通り、コミックのダークなウシジマくんワールドがより色濃く出た映画版は、見る者に痛烈なカウンターパンチをお見舞いする。でも、見終わった後、人間の弱さや愚かさだけではなく、たくましさもひしひしと感じられる快作だ。心して臨みたい。【取材・文/山崎伸子】

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