運命の2012年も残りあと僅か、人類は本当に滅亡するのか?
1999年のノストラダムス大予言に続き、一時期話題になった2012年の人類滅亡説。マヤ文明の暦が2012年12月22日頃に“終わる”ことから、人類も滅亡するのでは?と囁かれ、ローランド・エメリッヒ監督によるディザスター映画『2012』(09)などの題材となったのも記憶に新しいところ。しかし、肝心な滅亡の“Xデー”が近付くにつれて、2012年には滅亡しない、との説も浮上しており、実際に12月を迎えるまでは何もわからない。そんななか、地球の滅亡を一風変わった趣で描いた終末映画『4:44 地球最期の日』が10月6日(土)より公開される。
『バッド・ルーテナント 刑事とドラッグとキリスト』(94)の鬼才アベル・フェラーラ監督が手がけた本作は、パニック映像が一切なく、他の映画の滅亡とは一線を画した重苦しい雰囲気が立ち込めているSF作品だ。「明日の4:44に世界が終わる」と告げられた世界を舞台に、一組のカップルが愛を交わしながら最後の時間を過ごす姿が、退廃的かつアーティスティックな映像によって描き出される。
祈る者、自殺する者、ドラッグに走る者、暴動を起こす者など、劇中には様々な人々が登場するが、基本的には普段とあまり変わらない。どこまでも淡々と物語が進行し、日常の延長に滅亡があるという感覚は、これまでにあまりなかった類のものだろう。また、地球温暖化が原因となり滅亡を迎えるのも、核戦争や宇宙人の攻撃、巨大彗星の衝突といった壮大すぎる脅威よりリアルで、身近に感じられるはずだ。
「地球が滅亡するなんて馬鹿げている」と頭で思っていても、もしも明日地球が滅亡するならどうするかと問われれば、つい考えにふけってしまうもの。映画では、地球が最期を迎えるに当たって、どのような準備をするか、どのような状態の自分でいるべきか、といった疑問が提示される。残り3ヶ月に迫った今年のクリスマスを無事に迎えることができるかどうかは神のみぞ知る、といったところだが、その前に本作を見て、最期の日の迎え方について考えてみるのはいかがだろうか?【トライワークス】