流暢に中国語をしゃべる宇宙人の王さんって何者?
見知らぬ星から地球へやって来る宇宙人。『E.T.』(82)のように友好的なものもいれば、『インデペンデンス・デイ』(96)のように有無を言わさずに攻撃を仕掛けてくるものもいる。言葉が通じれば、お互いにわかりあえるのでは?なんて思ったりもするが、逆に地球の言語をペラペラしゃべっても違和感があるもの。10月20日(土)公開の『宇宙人王(ワン)さんとの遭遇』に登場する宇宙人も流暢に中国語をしゃべるから驚きだ。
ローマに現れ、秘密警察によって囚われの身となった宇宙人の王さんは、地球へやって来たのは文化交流のためだと言うが、警察関係者は彼の言葉を信じない。なぜ中国語をマスターしてきたのかは、地球上で最も多くの人々が使っている言語(中国人が多い)であるからで、たくさんの人とコミュニケーションがとりたいからだと言うのだ。そんな王さんと、警察関係者の会話を取り持つことになった、イタリア人の中国語通訳ガイアにとっても迷惑な話だが、拷問にめげず、つぶらな瞳で友好的な会話を続けるイカ型宇宙人の王さんに次第に同情してしまう。
本作は謎の組織にある一室での宇宙人の王さんと通訳のガイア、警察関係者のキュルティという3人のやりとりがほとんどで、最初は奇妙に見える王さんの姿が、次第にキュートに感じられるから不思議だ。椅子に手足を縛りつけられながらも、ガイアに水を飲ませてもらう王さんの姿も滑稽だったりする。2011年のヴェネチア国際映画祭で上映されるや、そのビジュアルと珍妙なキャラクターが反響を呼んだというのも納得させられるところだ。
イタリア映画史に名を残す問題作となった本作。果たして、王さんが地球へやって来たのは、本当に文化交流なのか?その真意は是非とも劇場で見てもらいたい。【トライワークス】
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