超有名作を真似したものの、ちょっと残念なコーマン印のB級映画が日本初公開
低予算で映画を量産していくスタイルで、ハリウッドで50年間に500本もの映画を製作したほか、現在のハリウッドを代表する監督や俳優をその作品から多数輩出したことでも知られるプロデューサーのロジャー・コーマン。この春には彼の軌跡をたどったドキュメンタリー『コーマン帝国』が公開され、話題を呼んだが、10月20日(土)スタートの第25回東京国際映画祭でもコンペティション部門の審査委員長を務めるなど、映画ファンでなくとも、その名を見かけることが多くなってきた。
前述したように、500本も製作作品があるだけに、日本では公開されていない幻の作品も少なくないのだが、そのなかでも厳選された4作品がコーマンの来日を記念して、<続・夜コーマン>のタイトルで10月13日から新宿武蔵野館でレイトショー上映されている。
まず、『デススポーツ』(78)は、『エクスペンダブルズ2』(10月20日公開)のシルヴェスター・スタローンが出演した、大陸横断の殺人レースが繰り広げられる傑作『デス・レース2000年』(77)の続編。舞台を前作の西暦2000年から3000年に移し、独裁者による人間狩りが繰り広げられるというものだが、珍妙なヘルメットを被った主演のデビッド・キャラダイン、ありえないほどチープなデザインのバイク、書割感たっぷりな未来都市(?)など、低予算にもほどがあるという世界観がかなり笑える。
次に『禁断の惑星エグザビア』(82)は、人類を救う食物を研究中に事故が発生し、窮状を救うべく惑星エグザビアを訪れた男が、研究の過程で生まれた怪物と遭遇するというSFホラー。見るからに『エイリアン』(79)かつ『遊星からの物体X』(82)風な怪物、グロ&エロ描写も満載で、B級どころかC級テイストも感じられる作品だ。
『ハリウッド・ブルーバード』(76)は、『グレムリン』シリーズのジョー・ダンテ監督が『ピラニア』(78)の前に撮っていたコメディで、女優を夢見てハリウッドにやって来たヒロインが、超B級専門の弱小映画会社にたどり着くという、コーマンによるセルフパロディともとれる舞台裏ネタ満載の珍作だ。
そして最後に、今回のラインナップの中で唯一の日本公開作『バニシング in TURBO』(80)は、父親に無理やり結婚させられそうになったヒロインが、父親のロールスロイスで逃避行を繰り広げるという、豪快なアクションが話題を呼んだ一作だ。何と本作は『ダ・ヴィンチ・コード』(06)のロン・ハワード監督のデビュー作でもある。
どれも、さすがに低予算なので、チープさ満載ではあるものの、それを補ってあまりある楽しさにあふれた珍作品ばかり。是非、よくこんな作品作ったよな的な気分で楽しんでもらいたい。【トライワークス】