これぞ元祖BL?1980年代の耽美映画の傑作がスクリーンに!
1930年代のイングランドの寄宿学校を舞台に、美少年の自由奔放な愛の姿を美しい映像でとらえた『アナザー・カントリー』(84)。映画公開時につけられた“一生、女は愛さない”というショッキングなキャッチコピーで話題を呼んだ同作は、19世紀フランスの男子校を舞台にした竹宮恵子による「風と木の詩」という大傑作コミックに夢中になっていた女性たちの心を鷲づかみに。それだけでなく、当時25歳だった主演のルパート・エヴェレットの、まるで少女漫画からそのまま抜け出したような端正なルックスや、ルパート・エヴェレット演じるガイの親友トミー役のコリン・ファースが醸し出す知的な雰囲気は、今も多くの女性たちを虜にし続けている。
そんな耽美映画の代表的作品が、10月27日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷で開催される「第1回語り継ぎたい映画祭」で上映されることが決定した。映画自体がフィルムからデジタルデータへと移行し、映画館での旧作の上映が困難になりつつある昨今。そんななかで、もう一度スクリーンで見たいという映画ファンの熱い要望に応えて厳選したタイトルを公開するという本企画。栄えある第1回となる今回は、今なお根強い支持を得ているうえに、新しい世代にも共感してもらえる1980年代のイギリス映画を代表する作品を上映する。
また、同じくイギリス映画の『眺めのいい部屋』(86)が同時上映。『アナザー・カントリー』と共にイギリス耽美系映画の双璧を担う『モーリス』(87)なども監督した名匠ジェイムズ・アイヴォリー作品の中で、最も明るく、最も美しい眺めに満ちた映画として知られる同作は、映画監督ティム・バートンの公私共ににおけるパートナー、ヘレナ・ボナム=カーターの出世作でもある。
コリン・ファースとヘレナ・ボナム=カーター、奇しくも『英国王のスピーチ』(10)で夫妻として共演したふたりの代表作を同時上映するという、映画館の憎い計らいも魅力の本映画祭。1980年代のミニシアター映画の先駆け的な人気作品をスクリーンで楽しめる数少ないチャンスをお見逃しなく!【トライワークス】