小説化される前から野村萬斎の起用が決まっていた?『のぼうの城』キャスティング秘話|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
小説化される前から野村萬斎の起用が決まっていた?『のぼうの城』キャスティング秘話

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小説化される前から野村萬斎の起用が決まっていた?『のぼうの城』キャスティング秘話

累計175万部を突破した和田竜のベストセラーを、『ゼロの焦点』(09)の犬童一心と『日本沈没』(06)の樋口真嗣がダブル監督で映画化した『のぼうの城』(11月2日公開)。豊臣秀吉の命を受けた石田三成率いる天下軍2万の兵を相手に、たった500人の軍勢で挑む、智も仁も勇もないが、人気だけは誰にも負けない、でくのぼうことのぼう様。狂言界の至宝にして9年ぶりの映画主演となる野村萬斎が、のぼう様こと成田長親を演じているが、何と小説化される前から野村萬斎の起用が決まっていたという。

実は本作、小説「のぼうの城」が原作ではなく、脚本家の登竜門と言われる城戸賞を受賞した和田竜のオリジナル脚本「忍ぶの城」が始まりなのだ。脚本にほれ込んだ本作のプロデューサーが、半ばやけっぱちで「オリジナル脚本の映画化が難しいなら、原作となる小説そのものを作ってしまえ」と考え、映画化実現に向けての突破口として、小説化を脚本を手がけた和田に打診した。これが2006年1月。しかし、小説化打診の半年前、2005年夏には野村に成田長親役での出演をオファーしていたという。

プロデューサーが「野村萬斎以外は、長親役は全く候補が出ていなかった」と振り返る一方で、小説を読んで作品をイメージした野村は、「どうして、俺のキャスティングを知っていて、ああいうふうに書くかな。だって丹波(佐藤浩市演じる正木丹波)が隠れちゃうほど(長親は)大きいっていう。それは無理だからね。浩市さんと並んで」と、ちょっと困惑気味だったようだ。キャスティングは、脚本ありきで映画化を見越して小説化された本作ゆえ、小説には外見に関する表記があるが、プロデューサーたちはそれ以前の脚本を基にしていた。そのため、脚本と小説の両方を手がけた和田さえも、「萬斎さんの持っている独特の雰囲気が映画全体に活きていて、この人じゃなかったら意外と凡作になっていたとさえ思うほどはまっていました」と言わしめた野村の演技は必見だ。

キャスティングに関しては、公開前の現段階で一番物議を醸している石田三成役の上地雄輔も、プロデューサー曰く「三成は世代的に若く、まだ意気盛んで野心に満ちている。でも、その本質にはある種の純粋さ、邪気のなさがある。だからこそ、敵方であれ、その人物を認めれば屈託の無い笑顔さえ見せてしまう。そんな少年性を持った俳優として本編を見ていただければ、多くの観客が上地さんの演技に驚愕するだろう」と絶賛する。

原作者も太鼓判の本作。日本映画の歴史を塗り替える壮大なスケールで描かれる大規模な合戦や、圧倒的勢力の豊臣軍が仕掛ける驚天動地の火攻めや水攻め、そして両軍の個性豊かなキャラクターたちが織りなす濃密な人間ドラマなど見所満載だ。そのスケールは是非ともスクリーンで満喫してもらいたい。【Movie Walker】

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