『のぼうの城』上地雄輔と山田孝之は「プライベートでも石田三成と大谷吉継みたい」

インタビュー

『のぼうの城』上地雄輔と山田孝之は「プライベートでも石田三成と大谷吉継みたい」

犬童一心と樋口真嗣のW監督で放つダイナミックな時代劇『のぼうの城』(11月2日公開)に出演した上地雄輔と山田孝之にインタビュー。主人公は野村萬斎扮する“のぼう様”こと成田長親だ。上地は豊臣秀吉に仕える知将・石田三成、山田は三成の盟友で沈着冷静な武将・大谷吉継役に扮し、のぼう様の忍城へ攻め込むという役どころを演じた。プライベートでも知己であるふたりに、本作の撮影秘話や裏話を語ってもらった。

原作は、和田竜が自身のオリジナル脚本「忍ぶの城」を基に書いた歴史小説。のぼう様率いる成田軍が、軍勢わずか500人で石田三成率いる2万の大軍を迎え撃つという破天荒な物語だ。湖で囲まれた“浮き城”の異名を持つ忍城ということで、何と東京ドーム約20個分の巨大セットが北海道の苫小牧で組まれた。上地は最初、その広さに驚いたという。「車でガタゴトと道なき道を入っていったら、奥にドーンとセットがあり、おお!って思いました。それを見た瞬間、スイッチが入りました。日本の映画であそこまでのものって、僕自身も経験したことがなかったです」。

石田三成の役作りについても聞いた。「作品の中で三成自身も成長しなきゃいけなかった。もともとあった冷静なイメージを崩すわけじゃないけど、自分の中で葛藤や欲望があるなかで、ちゃんと最後にのぼうと向き合った時、心が通じ合える人間として成立させたかったんです。秀吉や大谷が慕ってくれるような人間らしさを表現したくて。敵だけど応援したくなるような、人としての魅力がある三成を演じたいと思いました」。

大谷吉継役の山田は、「一応、歴史を調べたりはしたけど、人気の武将だし、諸説あるんですよ。でも、すごく格好良い人だったんだなとは思いました」と語る。また、戦国武将を演じてみて、「自分でばーっと突っ込んでいって戦える。武将のトップをできたので楽しかったです。大谷って尽くすってことでぶれないし、最後まで戦場で戦っていた男ってところが良いですね」。

これまでに4、5回共演経験があり、勝手知ったる仲のふたり。現場でも共演シーンが多く、休憩時間も一緒に過ごしていたという。上地は山田について、「昔から知っているからやりやすいし、もちろん役者としても素晴らしい」と語る。「最初に台本をいただいて、大谷役が孝之だと聞いた時、すごく嬉しかったし、実際にやっていて楽しかった」。

一方の山田は、上地について「すごくやりやすかったです。何回も共演していますが、三成の無鉄砲さって、上地くんの中にもあったりして、そこが重ねやすいんです」と言いながら、撮影後、ふたりで飲みに行ったエピソードを話してくれた。「次の日、休みだったので、朝方まで飲んでいたんです。朝だから人がどんどん来だしたんですが、上地くんが『俺、散歩してから帰る』って言い出して。いやいや、こんなところで上地雄輔がいたら大変だから、タクシーで帰ろうよって言っても、『いや、歩く』って。そういうところが三成と重なりますね(笑)」。上地は「だから、山田くんは大谷なんです」と、苦笑い。

最後に、本作をふたりでアピール。上地は「自分たちが身を削って、自分の中のものを出して演じたものを、いろんな人たちに見てもらうってのが僕たちの仕事。公開されて嬉しいです」と、力強く語ると、山田も「子供から大人まで、三世代くらいで一緒に見られる作品だと思います。特に子供は、楽しみながら歴史を知れる作品になっているので」と、見どころを語った。

犬童監督と樋口監督という最強タッグの下、のぼう様役の野村萬斎をはじめ、上地や山田たち全員が、個性豊かなアンサンブルを魅せる『のぼうの城』。言うまでもなく、合戦や水攻めのシーンは、劇場で鑑賞するに値するスペクタクルな映像となっているので、大いに期待したい。【取材・文/山崎伸子】

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