石井岳龍監督の『シャニダールの花』が綾野剛×黒木華W主演で2013年に公開
石井岳龍監督が石井聰亙の時代から温め続けた『シャニダールの花』が、綾野剛×黒木華のW主演で公開されることがわかった。石井監督がオリジナル脚本で挑み、人間に花が咲くという、ただならぬ夢をモチーフにした、花と人間の関係を問いかける現代のおとぎ話だ。本作に込めた思いを、石井監督は「この映画を体験した後には、いつもの花が全く違うものに見えてくる。そんな映画にしたい。そして、この映画は愛についてのささやかな問いかけでもあります」と語る。
極めて少数の女性にではあるが、皮膚に謎の植物の芽が現れ、見たこともない美しい花が咲くという不思議な現象が起こっていた。満開時の花びらから採取された成分は、画期的な新薬の開発につながることが発見され、製薬会社はその花の提供者を全国から見つけ出し、その提供者の花の成長を全面的にケアするという特殊な施設・シャニダールを発足。そして、その花は、シャニダールの花と呼ばれ、提供者には億単位の報酬が与えられていた。
黒木はシャニダールで新人として働くこととなった響子を、綾野は研究者である大瀧を演じる。石井監督は綾野と黒木の印象について、「綾野君はエッジの効いた独特の存在感や役への没入感の深さに感心していて、以前からとても気になっていた俳優さんなので、今回、がっつり組んで良い仕事ができたと思うので嬉しいです。黒木さんは素朴な天然さが今回の役にぴったりだと感じ、お願いしました。今の日本にもこんな古典的な女優さんがいるとは驚きです」と話し、「他の俳優さんとも初めての仕事でしたが、それぞれの存在がとても興味深く、短い付き合いながら充実感にあふれました。彼らの、静かで、印象的な演技のぶつかり合いは、花と共にこの作品の最大の見どころです」と自信を見せた。
綾野は「ただただ、忘れもしません。『始動、怖い、不安、それでも懸命に挑み続けよう』。クランクアップした瞬間、脳裏にあふれたのは、初日の監督の言葉でした。同時に、黒木華さんをはじめ、女性キャストの瑞々しい確かな力に、各部署のただならぬ集中力と緊張感に支えられ、最後まで大瀧賢治で立ち続けることができました。参加できたこと、大変興奮し感謝しています」と出演の喜びを語っている。
綾野との共演に、黒木は「綾野さんはすごく感覚的な方だと思いました。反射的というか、瞬時にリアクションを返してくださって、綾野さんのおかげで、楽しみながら安心して現場にいられたのだと思います」と振り返り、「初めてのことばかりで、最初はすごく不安でしたが、石井監督とお会いして一緒に作っていく日々の中で、監督の魅力に引き込まれる毎日でした。監督自身が明確なイメージを持っていて、それを確実に表現するスタッフや、役者がいる。この組で今まで経験したことのない空気感だったり、素に近い演技をすることの難しさを体験できたと思います。ストーリーはもちろんですが、衣装、美術、映像、全てがスタイリッシュで石井監督だからこそ、作れた映画だと思います」と作品に手応えを感じているようだ。
この他、『告白』(10)でデビューし『中学生円山』(2013年公開)や『鈴木先生』(2013年1月12日公開)などへの出演が続く刈谷友衣子や、『莫逆家族 バクギャクファミーリア』(12)やNTTドコモのCMに出演する山下リオなどのフレッシュな顔ぶれに、伊藤歩、古舘寛治などの実力派が参加している。映画『シャニダールの花』は2013年公開となる。【Movie Walker】