野村萬斎と上地雄輔が『のぼうの城』チームから「ズレてる人」呼ばわり
狂言界の至宝・野村萬斎が、『陰陽師II』(03)以来、9年ぶりに映画主演を務めた時代劇『のぼうの城』の公開記念舞台挨拶が、11月3日にTOHOシネマズスカラ座で開催。野村萬斎、榮倉奈々、成宮寛貴、上地雄輔、山田孝之、平岳大、佐藤浩市、犬童一心監督、樋口真嗣監督が舞台挨拶に登壇。両監督が構想から8年を費やしたという本作だが、主演の萬斎も「私も声をかけられてから7年を費やしました。とにかく百聞は一見にしかず。面白かったと吹聴していただきたい」と映画をアピールした。
主題歌は、エレファントカシマシが、主人公ののぼう様をイメージして作った「ズレてる方がいい」だ。そこで、この曲にちなみ、撮影中に「ズレてる」と思った人を、ゲスト全員がフリップで表すことに。一番多かったのは、のぼう様役の野村萬斎だった。樋口監督は「良い意味で浮世離れしていた」と言うと、犬童監督も「よくテレビで、野村さんが『普段の自分はシャープだ』って言ってるんですが、その感じが既にぼーっとしてるなと思いました」とコメント。自分自身もフリップに「私」と書いた萬斎は、「僕はズレてないと思っていたけど、気が付いてないってことで、きっとズレてるんだろうな」と笑いながら答えた。
萬斎と並び、「ズレている」という声が多かったのが上地だった。平は「ある日、撮影中にいきなり会話が全部、英語になった」、山田は「ふたりで朝まで飲み、世間が動き出したのに、『俺、散歩して歩いて帰る』って言われて。変な人だなと思った」と指摘。榮倉は自分自身の名前を書きながらも、「上地さんと話をしても、全然かみ合わなくて。でも、私じゃなかったと気付きました」と笑顔で語ると、上地は萬斎、榮倉、成宮、平、山田の5人の名前を挙げ、「5人中、3人当たったので、普段のクイズよりは当たっています」と語った。
その後、のぼう様率いる忍城軍と、豊臣軍のチームに分かれたゲスト陣が、紅白玉入れ合戦を開催。見事、勝利を果たした萬斎率いる忍城軍には、褒美としてロケ地の苫小牧エリアで作られたブランド米「たんと・うまい」の「ななつぼし」という米俵がプレゼントされ、大喜び!最後に、劇中で使用される農民の掛け声「えいか、えいか、おー!」を、ゲストと観客が一緒になって唱和し、舞台挨拶は幕を閉じた。
『のぼうの城』は、和田竜が自身のオリジナル脚本「忍ぶの城」を基に書いた歴史小説。軍勢わずか500人で、総大将が民衆からのぼう様と慕われる成田長親の忍城が、石田三成率いる2万の大軍を迎え撃つ。合戦や水攻めのシーンはもちろん、萬斎たち個性派俳優陣のアンサンブル演技も痛快で、見どころのある力作となった。【取材・文/山崎伸子】