『ロックアウト』スティーブン・レジャー監督「この作品はひと味違うよ。人間をしっかり見てほしい」

インタビュー

『ロックアウト』スティーブン・レジャー監督「この作品はひと味違うよ。人間をしっかり見てほしい」

リュック・ベッソン製作、ガイ・ピアース主演『ロックアウト』が11月23日(祝)より公開を迎える。本作は衛星軌道上に浮かび、脱獄不可能と言われる究極の刑務所で暴動が発生、大統領の娘の救出と、自らの嫌疑を晴らすために同地へ潜入する元CIAエージェントのスノーの活躍を描くSFアクションだ。リュック・ベッソンの製作会社ヨーロッパコープの期待と共に世界中のベッソンファンのプレッシャーも背負って監督を務めたのは、本作が長編デビューとなるスティーブン・レジャーとジェイムズ・マザーのふたりだ。アイルランド出身のふたりはCMや短編映画界で約20年のキャリアを持ち、脚本・編集(スティーブン)、撮影・照明(ジェイムズ)の役割分担で制作を続けてきた。その中の一つで『Prey Alone』というCG満載の短編に、ヨーロッパコープが注目したことが本作誕生のきっかけとなった。リュック・ベッソンはその短編を見た瞬間、ふたりのイマジネーションと才能にほれ込み、即座に「会いたい!」と申し出たという。今回、監督の一人、スティーブン・レジャーに話を聞くことができた。

――リュック・ベッソンからどのようにアプローチされましたか?

「レイラ・スミスが渡した短編映画をマルク・リベールが見たんだ。彼らが誰かは知らなかったが、それは重要じゃない。彼らがその短編をリュックに渡したのだと思う。そしてリュックが僕たちに電話してきて、パリに来て、会わないかと言われたんだ。僕たちはやってみたい様々なアイデアを話し合っただけだ。アイデアを出し合った。そして僕たちは戻り、実際そのアイデアで何かを作れると思ったんだ。そこで僕たちはトリートメントを書いた。そしてリュックから草稿を書いたらと言われたんだ」

――リュック・ベッソンの映画はあなたの作品に影響を与えましたか?

「もちろん。彼に見てもらいたいシーケンスを幾つか入れた。いつもリュックの映画のファンだった。初期の映画のね。『レオン』(94)、『サブウェイ』(84)、『グレート・ブルー』(88)。それに僕たちの短編映画『Prey Alone』(04)にも幾つかシーケンスが入っている。短編は『レオン』に似ているんだ。でも、彼があの短編映画のアイデアを好きかどうか、あるいは僕たちが撮影し、書き、まとめ、効果も全部やったことを気に入ってくれたかはわからない」

――共同監督との仕事はいかがでしたか?

「ジェイムズと僕が一緒に仕事をするのが好きな理由は、全部をやれることだと思う。結局は脚本とアイデアが基になる。他の全てのことはそこから派生する。撮影や、物語や、演出や、トーンといったものはね。そういった他の要素をコントロールできるのが、僕にとってはとても重要だ。少なくとも自分が望んだものを、あるいは望んだ大多数を得られるからね。でも、とてもゆっくりとしているし、多くのことに関係する。自分で何もかもやらなくちゃいけないんだ。撮影ほどゆっくりとしたものじゃないが、ゆっくりとしたプロセスなんだ。自分で何もかもやっているからね。とても疲れる。でも見返りがあれば良い。ジェイムズとの仕事でもう一つ良いことは、僕たちは長い間やってきているから、言葉が通じる。会話への近道だ。僕たちは素早く物事を理解する。通常、撮影の日に僕たちで話し合うことはほとんどない。前もって方法を見つけているからだ。脚本にしても、シーンの目的にしても、トーンにしても、そのシーンの前後に何がくるかも。意志の疎通が取れていて、何もかも説明する必要がない。だから通常、僕が俳優たちと作業している間に、ジェイムズがシーケンスをセットアップする。ジェイムズの素晴らしいところは、常に4、5個のショットを前もって考えていることだ。だから、撮影中に僕たちが話し合うことはほとんどない。彼が後からシーンに影響する何かを見つけない限りはね。撮影にとても役立つもう一つのことは、自然主義の考え方と、手持ちカメラと、シーンの流動性だった。ジェイムズは全ての設定を3Dで組み立てていた。それにセットに前もって照明を考えていた。だから、セットが組み立てられた時、実際の照明のほとんどをセットに内蔵させたんだ。おかげでシーンの多くに実際的な照明が当たる。それが撮影中、大きな自由を与えてくれる。僕たちはできる限りインカメラで収めようとした。昔のやり方に近い、トランス照明のような感じだ。そしてグリーンスクリーンの量を最小限に抑えようとした。グリーンスクリーンはほとんどなくて、ほとんどすべてをインカメラにする。それが異なる映像を与えてくれる。1980年代の活気のようなものをね。空気中に多くの雰囲気が漂うんだ。グリーンスクリーンでは、それはできない。全てがはっきりするからね。正確になり過ぎる。一方、全てをリアルに組み立て、ジェイムズの照明のように光を当てれば、自由が得られて、実際僕たちのようにシーンと遊べるようになる」

――ガイ・ピアース演じるスノーというキャラクターについて聞かせてください

「脚本では、スノーはあまり好感の持てるキャラクターではない。ある意味、彼は皮肉屋で、誰のことも気にかけない。でも、彼はとても面白くて、乾いたウィットやユーモアのセンスがある。そこがとても好きなところだ。ビリー・ワイルダー監督の映画に出てくるウィリアム・ホールデンのようなところがほしかった。皮肉っぽいが鋭くて乾いたユーモアのセンス。スノーにはそれが大いにある。彼は最初からそんな感じなんだ。エミリーとスノーの関係についてリュックと話していた時、僕の頭には『アフリカの女王』(51)のような映画が浮かんでいた。正反対のふたり。2つの相反するキャラクター。映画を通して彼らの関係はそんな感じで進み、そんなふうにつながり合う。明らかにふたりは堂々巡りを繰り返すだけの関係じゃない。この映画に僕はそういうものを望んだ。そのアイデアを気に入ったんだ。僕たちは徹底的に話し合った、どうあるべきかについてね。もちろん、他の要素全ても、他のキャラクターたちも、ハイデルやアレックスについてもだ」【Movie Walker】

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