関西弁をしゃべらないうえ、まったくスベらない村上ショージに驚き!?
道尾秀介の本格ミステリーを豪華俳優陣の共演で映画化した『カラスの親指』(公開中)。悲しい過去を背負う詐欺師タケを主人公に、一つ屋根の下に集まった5人のわけありの男女が、一世一代の大勝負へと打って出る姿を描いた爽快なエンタテインメント作品だ。
主人公のタケを演じる阿部寛をはじめ、石原さとみや鶴見辰吾など個性派&実力派俳優に交じって、輝きを放っているのがお笑い芸人の村上ショージ。本格的演技は初挑戦というのが信じられないほどの名演技を披露しているから、お驚きだ。
彼が演じるのは、タケとコンビを組むことになる新米詐欺師のテツ。無敵の笑顔と、のほほんとした雰囲気で、人の良い詐欺師を好演している。関西弁を封印されてしまったものの、逆にそれが良い味を出すことに一役買っている。ちょっと駄目な気の良いおじさんの顔を見せながら、実は、という二面性をも表現し、さらには最後の大どんでん返しの中心的存在となる大役を軽やかに演じている。
すべり芸の第一人者でもある村上ショージが、俳優として新境地を開拓した本作。彼の関西弁もすべり芸も見ることはできないが、それもまた良しと思わせるほどの村上ショージ・ワールドを楽しむことができる快作だ。【トライワークス】
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