イライジャ・ウッドとアンディ・サーキス、「皮膚の中まで知り尽くした」当たり役への愛情を吐露

インタビュー

イライジャ・ウッドとアンディ・サーキス、「皮膚の中まで知り尽くした」当たり役への愛情を吐露

ファンタジーの金字塔『ロード・オブ・ザ・リング』トリロジーの前章となる物語を映画化した第一弾『ホビット 思いがけない冒険』が、いよいよ12月14日(金)より公開。ファン待望の本作で、当たり役を続投するのが、イライジャ・ウッドとアンディ・サーキスだ。そこで来日した二人を直撃!中つ国に再び足を踏み入れた感想を聞くと、大興奮で喜びを語ってくれた。

トリロジーにおいて、命がけの旅に出る主人公フロド役を演じたのがイライジャだ。『ホビット』で描かれるのは、フロドの養父ビルボ・バギンズが60年前に出会った大冒険。物語は、ビルボが若き日の体験を、フロドに語り出すことから、紐解かれていく。イライジャは、「『ホビット』のキャスティングを受けたのは、2年くらい前かな。とにかく驚いたよ!タイトル通り、本当に“思いがけない”ことだった(笑)。60年前には、まだフロドは生まれてもいないからね。再びフロドを演じることができるというのは、贈り物のような感じがしたよ」と、喜びを隠せない様子だ。続けて「観客の方も含めて、皆が慣れ親しんだメンバーと出会って、そこから新しいアドベンチャーに飛び出して行くというのは、とても美しいアイデア。物語の信憑性が、より増したんじゃないかな」と、仕上がりにも大満足だ。

時にコミカルに、時に哀愁漂うクリーチャー、ゴラム役を怪演するのがアンディだ。『猿の惑星 創世記』(11)のシーザーや、『キング・コング』(05)のコングなど、モーションキャプチャーを使った演技では、右に出る者はいないと言われるほど、映画界にとって、なくてはならない人物となった。アンディは、「『ホビット』が製作される可能性というのは、ずっと強く取り沙汰されていたんだ。もし、映画を作ることになれば、当然、ゴラムは戻ってくるだろうと思っていた。でも、実際にキャスティングされたという報せをもらった時は、本当にエキサイティングだったよ!」と微笑む。「ゴラムとビルボの指輪をめぐるストーリーというのは、子供の頃に原作を読んだ時に、一番印象に残ったシーンなんだ。演じられて、とても嬉しかったよ」と、感慨深けに語ってくれた。

灰色のガンダルフを演じるイアン・マッケランも、「他の俳優がガンダルフを演じるのは我慢ならない」、ピーター・ジャクソン監督も「誰にも本作を渡したくなかった」とコメントしている。関わった人々が、並々ならぬ愛着を注ぐ本シリーズ。それぞれにとって、フロドとゴラムはどのような存在になっているのだろう。イライジャは「僕は、フロドの皮膚の中まで知り尽くしていると思っているよ。『ロード・オブ・ザ・リング』というのは、ポップカルチャーの一つになり、フロドという役も、そういった存在になった。僕だけじゃなく、皆のものになったんだ。個人的にも、人生の最も素晴らしい時期に、素晴らしい経験ができた映画。常に僕の中に、フロドの木霊やゴーストがいるようなところもある。それだけ、僕にとって特別な存在だよ」と、思いを吐露した。

一方のアンディが、「『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』(03)を撮り終わった時は、これが自分のキャリアにおいて、最後のCGキャラクターになると思ったんだけどね」と語り出すと、イライジャも大爆笑。「ピーターから『キング・コング』のオファーをもらった時は驚いたよ!『ええ!?』ってね(笑)。またしても、モーションキャプチャーを使った役どころで、しかも主役級の大きな役どころ。これは、自分が意図したことではないんだけれど、キャリアにおいて、そういった役を数多く演じる道を歩むようになった。『ロード・オブ・ザ・リング』を12年前に撮影した時から比べると、モーションキャプチャーの技術は格段に進歩している。そういった進歩を感じられるのも、今回面白かったことだね」。

本シリーズ、そして自らの役柄について、語り出すと止まらないといった様子の二人。あふれ出すほどの愛情が伝わってくる。最後にアンディが、ファンタジーの持つ力について、こう語ってくれた。「人間にとって、ストーリーテリングというのはとても重要なもの。政治や信条、宗教が日々変化するなかで、唯一変わらないのは、ストーリーテリングを欲する、我々の気持ちなんじゃないかな。モラル的指針や、何が正しいのかということを、物語を通して語ってほしいと思っている。この作品は、キャラクターも魅力的。典型的でありながら、グレーゾーンもいっぱい持っているキャラクターたちなんだ。エンタテインメントとしてのも魅力も、たっぷりとあるしね」。

アンディが「グレーゾーン」と分析したように、今回の主人公ビルボも、決してヒーロー的な人物ではない。迷い、葛藤する、言わば平凡な人物だ。だからこそ、彼の見せる勇気、優しさに、胸を熱くせずにはいられない。是非、新たな冒険物語を楽しみにしてほしい。【取材・文/成田おり枝】

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