一度見たら忘れられない?ザ・オタク役ポール・ダノのクセになる魅力
素朴なのに個性的な顔立ちが印象的な若手俳優のポール・ダノ。若手の中でNo.1との呼び声も高い演技力を持ち、強い存在感を放っていた『リトル・ミス・サンシャイン』(06)と『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(08)の2作で彼を認識した人も多いはずだ。ちなみに演じた役は、パイロットを目指す無口な童貞少年役と、カリスマ的な若き聖職者役。『ナイト&デイ』(10)でも、天才科学者の役を熱演しており、“オタク役といえばポール・ダノ”のイメージは完全に定着していると言っても過言ではないだろう。
そんなクセのあるポール・ダノだが、実生活の充実ぶりはスター俳優そのものだ。ギターとヴォーカルで参加するMOOKというバンドでは音楽的な才能も証明している。スクリーン上では、あまりいけいてない役ばかり演じているが、巨匠エリア・カザンの孫娘で、『恋するベーカリー』(10)などに出演している女優のゾーイ・カザンと恋仲であることも知られている。演じる役柄と私生活のギャップも彼の魅力の一つかもしれない。
そんなポールと、彼女であるゾーイのカップルが脚本・製作から関わり、恋人役(?)で共演を果たした映画『ルビー・スパークス』が12月15日(土)より公開されている。ポールが演じているのは、19歳で華々しくデビューしながら、その後、10年間もスランプに陥っている作家。自信を失った主人公が自分好みの女性が登場する小説を書いていると、現実にその女性が現れるというのが本作のストーリーだ。しかも、女性のアップデートが可能で、“フランス語が堪能”と小説に記せばフランス語を流暢にしゃべってしまう。架空のヒロインが現実世界に飛び出してきてしまうという、どこかオタク的な発想の物語とオタク役者ポールとの親和性が抜群なのだ。
本作の監督は、『リトル・ミス・サンシャイン』でもメガホンを取ったジョナサン・デイトンとヴァレリー・ファリス夫妻。一風、変わった設定の『ルビー・スパークス』だが、前作が絶大な人気を得た監督夫妻だけに質の高さは保証済みだ。鑑賞する際は、是非ポール・ダノの一挙手一投足に注目し、彼の放つ独特な魅力を味わってほしい。【トライワークス】