第70回ゴールデングローブ賞ノミネートで辛酸をなめたのは?そしてサプライズは?

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第70回ゴールデングローブ賞ノミネートで辛酸をなめたのは?そしてサプライズは?

現地時間12月13日、第70回ゴールデングローブ賞のノミネートが発表された。

アメリカ大統領選が行われた2012年は、スティーヴン・スピルバーグ監督『リンカーン』(2013年4月19日公開)、ベン・アフレック監督『アルゴ』(12)、キャスリン・ビグロー監督『ゼロ・ダーク・サーティ』(2013年2月15日公開)など、社会派の作品が多くノミネートされているのが特徴で、大方の予想通り、『リンカーン』が最多7部門と圧倒的な勝利を収めた。

一方で「『ツーリスト』(10)と『アリス・イン・ワンダーランド』(10)の2作品でジョニー・デップを主演男優賞にノミネートした外国人映画記者クラブ(HFPA)は、今年も例外じゃなかった」とmoviefone.comが報じている通り、今回のノミネート発表に際し、今年も悲喜こもごものドラマが誕生している。各メディアが取り上げている、辛酸をなめた作品・人物とサプライズ受賞作・受賞者をピックアップしてみた。

米ABCニュース、NBCニュースが大きく取り上げたのは、世界中で10億ドル以上を稼ぎ出した『ダークナイト』シリーズの最終章となった『ダークナイト ライジング』(12)が総スカンを食らった点だ。『ダークナイト』(08)で、故ヒース・レジャーが第81回アカデミー助演男優賞を獲得したのは、やはり故人となったからだったのか。アカデミー賞ならいざ知らず、アメコミ映画といえども、アメリカ映画産業界に絶大な影響力と興行成績をもたらした同シリーズのフィナーレで、クリスチャン・ベール、クリストファー・ノーラン監督らが無視されたのは、残念な結果であると共に、ゴールデングローブ賞に疑念を残す結果となった。

そして、多くのメディアが取り上げている俳優が、『Bernie』とスティーブン・ソダーバーグ監督の大ヒット作『Magic Mike』で、あの厳しいニューヨーク映画批評家協会賞助演男優賞を受賞したマシュー・マコノヒーだ。ゴールデングローブ賞の主演男優賞は、カテゴリーが分かれていない助演男優賞と違い、ドラマ部門とコメディー・ミュージカル部門があり、広き門となっているが、ジャック・ブラックがコメディー・ミュージカル部門の『Bernie』で主演男優賞にノミネートされているにもかかわらず、マシューがノミネートされなかったことは、Usウィークリー誌など多くのメディアがサプライズとして挙げている。だが、「2013年公開の『The Dallas Buyers Club』で演じるHIV患者の役作りのため、約17kgも体重を落としたマシューは、2013年までチャンスを待つしかない」と、早くも2013年のノミネートを期待する声も挙がっている。

その助演男優賞を混乱させている一因には、『ジャンゴ 繋がれざる者』(2013年3月1日公開)でレオナルド・ディカプリオとクリストフ・ヴァルツのふたりがノミネートしている点にあると指摘されている。こちらも主演男優賞のジェイミー・フォックスが無視されたことと同様に、ゴールデングローブ賞らしいサプライズだと言われているのだ。

一方で、想定外のビックサプライズノミネートとなったのは、2012年3月に公開され、興行成績がわずか900万ドルと振るわずに、賞レースの話題にもなっていなかった『砂漠でサーモン・フィッシング』(日本公開中)だ。

コメディー・ミュージカル部門の作品賞に選ばれているほか、主演男優賞にユアン・マクレガー、主演女優賞にエミリー・ブラントがそろい踏みする結果となったのは、業界誌ハリウッド・レポーターでも想定外だったようだ。

他にはヒュー・ジャックマン、アン・ハサウェイ、そして作品賞にもノミネートされている『レ・ミゼラブル』(12月21日公開)で、トム・フーパー監督とアマンダ・サイフリッドがノミネートされていない点や、ブラッドリー・クーパーやジェニファー・ローレンスがノミネートされている『世界にひとつのプレイブック』(2013年2月22日公開)のデヴィッド・O・ラッセル監督がノミネートから外れたこと、ドラマ部門の主演男優賞に『ヒッチコック』(2013年春公開)のアンソニー・ホプキンスではなく、『Arbitrage』のリチャード・ギアが選ばれたことや、トミー・リー・ジョーンズが、メリル・ストリープ主演の『Hope Springs』ではなく、『リンカーン』(2013年4月19日公開)で助演男優賞にノミネートされたことなどが挙げられている。

第70回ゴールデングローブ賞授賞式は、第85回アカデミー賞ノミネート発表のある2013年1月17日(木)より前の、現地時間1月13日(日)にロサンゼルスのビバリーヒルトン・ホテルで開催されることになっており、アカデミー賞への影響も含めて、結果が楽しみである。【NY在住/JUNKO】

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