トム・クルーズ来日「CGはなし!生々しい男っぽさを出した」と型破りな新ヒーローをアピール
最新主演映画『アウトロー』(2月1日公開)を引っさげてトム・クルーズが来日。1月9日に記者会見が開催され、『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』(11)以来、約1年ぶりの来日を果たしたトムは「空港でも大変温かい歓迎を受けて、また戻って来られて本当に嬉しく思っているんだ。新作を是非楽しんでほしいよ!」と笑顔を見せた。
本作は『ミッション:インポッシブル』シリーズに続き、トムが新しくスタートさせるシリーズの第一弾。英国作家リー・チャイルドの大ベストセラーを原作に、トム演じる元米軍の秘密捜査官にして流れ者の男、ジャック・リーチャーが世の悪人をなぎ倒す姿を描くハードボイルドアクションだ。キャリア史上、最も危険でワイルドなヒーローに挑んだトムは「ジャック・リーチャーは非常に古典的な男だよ。サムライ、浪人のスピリットを持っている。西部劇に出てくるスピリットを持っている男なんだ。ネットをしないし、公衆電話を使うんだから、デジタル社会に生きるアナログ人間とも言えるね。人間を見たがる男だ」と分析。「映画人としては、演じたくてしょうがない、待ちきれないほどに魅力的なキャラクターで、俳優が挑戦できる要素がたくさんあった」と熱っぽく語ってくれた。
そう語るように、作中では激しいカーチェイスにも、スタントを使わず自らチャレンジしている。「そこでは、CGも一切使っていないんだ。これこそがジャック・リーチャーを表す手法で、生々しい男っぽさ、強さを出すことができたと思う」と胸を張った。
またこの日は、監督・脚本のクリストファー・マッカリーとヒロインを演じたロザムンド・パイクも登壇。『ユージュアル・サスペクツ』(95)の脚本で知られるクリストファー監督が、完璧なトリックで見る者を欺くサスペンスの手腕を発揮している。トムは「実はクレジットされていないけれど、『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』はクリストファーが書いたものなんだ。『ミッション:インポッシブル』シリーズも次回は彼が監督をします」と告白、会場からも大きな拍手が沸き起こった。信頼を寄せられたクリストファー監督も「映画作りには大変な作業、苦労があるにも関わらず、トムと一緒ならそれが楽しい経験になる」と相思相愛の様子だ。続けて「トムと僕は睡眠をとらないんだ(笑)。トムが僕よりも仕事をしていて、彼も仕事をしていると思うと嬉しいね。トムは常に学ぼうという姿勢を持っている人。僕のやり方はこうだという押し付けは一切しないんだ」とトムとの間に築かれた絆を明かしてくれた。
演技派として知られるロザムンドは、ジャックと共に事件に挑む弁護士のヘレン役を演じている。「男性が多いなかで、数少ない女性という貴重な経験をさせてもらったわ(笑)。ヘレンは知的で自分を持った女性。彼女は映画のなかで旅を遂げるの。ジャックとの出会いにより、より良い弁護士になっていくのね」と微笑んだ。トムも「ヒッチコックが生きていたら、色々な作品に彼女を起用しただろうね。グレース・ケリーのようで、彼のタイプだからね。クリストファーが先にキャスティングしたことで、ヒッチ先生は妬んでいるんじゃないかな(笑)」と彼女の存在感を絶賛していた。
最後にトムは「僕は、お客様を楽しませるためにベストな能力で作れる映画、ベストフィルムにしたいという信念で、いつも映画を作っているんだ。今回も心躍る気持ちで臨んだよ。尊敬できるクルーと仕事ができることは楽しいことだ。映画作りというのは、本当に素晴らしいことだと思う。能力が続く限り、45時間ぶっ続けで仕事をすることもある。でも、それが楽しいんだ(笑)」と尽きぬ映画作りへの愛情を興奮気味に語ってくれた。この熱意こそが、ハリウッドはもちろん、世界の映画業界を盛り上げている大きな一因だ。破壊的な戦闘能力と優れた推理力、時折見せるクールなユーモアなど、トムが作り上げた新ヒーローは魅力満載。是非とも渾身作の公開を楽しみに待ちたい!【取材・文/成田おり枝】