俳優&監督仲間、そして映画ファンもベン・アフレックのアカデミー賞候補落選に異議あり!
現地時間1月10日に第85回アカデミー賞ノミネーションが発表された。毎年のことながら、サプライズノミネーションで喜ぶ人もいれば、反対にまさかの落選で辛酸をなめる人たちもいる。しかし、今年は7部門にノミネートされたベン・アフレック監督作『アルゴ』(12)で、ベンが監督賞にノミネートされなかったことに対して、関係者のみならず、ファンからも驚きの大きな声が挙がっている。
1日前に発表されたアメリカ監督組合賞(DGA)では、スティーヴン・スピルバーグ監督『リンカーン』(4月19日公開)、トム・フーパー監督『レ・ミゼラブル』(公開中)、キャスリン・ビグロー監督『ゼロ・ダーク・サーティ』(2月15日公開)、アン・リー監督『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』(1月25日公開)、ベン・アフレック監督『アルゴ』の5人が名を連ねた。
これまでの各賞結果や、同賞とアカデミー賞監督賞の候補がだぶる確立が高いこと、そして1948年に始まったアメリカ監督組合賞の歴代受賞者の中で、アカデミー賞監督賞を逃したのは6人しかいないという実績から考えても、ミュージカル映画というハンディのあるトム・フーパー監督以外のアカデミー監督賞ノミネーションは、確実視されていた。しかし蓋を開けてみると、ベン・アフレック監督とキャサリン・ビグロー監督が落選してしまった。
Fandango.comが今回のノミネーションのサプライズについてアンケート調査を行った結果、数千人もの回答者のうちの52%が、ベンが監督賞に選ばれなかったことを一番のサプライズに挙げている。続いて、キャスリン監督の落選に20%、クエンティン・タランティーノ監督『ジャンゴ 繋がれざる者』(3月1日公開)の落選に12%の映画ファンが驚きと異議を唱えている。
また、『世界にひとつのプレイブック』(2月22日公開)で主演男優賞にノミネートされたブラッドリー・クーパーは、米NBSテレビのトークショウ「トゥデイ」に出演した際にショックを隠しきれない様子で、「ベンは『アルゴ』で主演男優賞と監督賞にノミネートされるに値する」とアカデミー協会の選択に疑問を投げかけた。
「エブリバディー・ニーズ・ア・ベスト・フレンド」で歌曲賞にノミネートされている『テッド』(1月18日公開)の監督で、第85回アカデミー賞授賞式の司会を務めるセス・マクファーレンも、「監督賞のカテゴリーでベンを見たかったな。彼はマット・デイモンの監督版だね」と数年前に、確実視されていたノミネーションから外されたベンの朋友の名を挙げて、辛辣に同結果を皮肉っている。
また、現在のベンの妻ジェニファー・ガーナーの元夫スコット・フォーリーでさえも、「滑稽で不公平で、ちょっとドラマティックなのかな。ベン・アフレックが監督賞候補から見過ごされるなんて、馬鹿げているとしか言いようがない」とツイートしている、とNBCNews.comが報じている。
さらに、5部門にノミネートされながら、監督賞にはノミネートされなかったクエンティン・タランティーノ監督は「結果オーライだよ。でも、ベンを気の毒に思うよ。僕たち皆が、彼はノミネートされると思っていたし、されるに値するよ。本当に気の毒だと思う」とBANG Showbizのインタビューで語っており、落選した自分よりも、ベンに同情を示している。
ベンと言えば、大ヒットが見込める大作映画のスターであったにもかかわらず、ジェニファー・ロペスと交際したことで運気が一気に下降した。2004年に破局した後も半ば映画業界から干され、メディアからも散々叩かれたたベンは、その後、地道に俳優業を続けながら、『ゴーン・ベイビー・ゴーン』(07)、『ザ・タウン』(10)で監督としての才能を発揮した。
監督作3作目となる『アルゴ』で遂に第70回ゴールデングローブ賞にノミネートされた際のインタビューでは、「電話が良い知らせのこともあれば、嫌な知らせなこともある。今回は良い知らせだったことを光栄に思う」と、自らの過去を皮肉りながら控えめに喜びをかみしめたようだが、スティーヴン・スピルバーグ監督『リンカーン』との一騎打ちとまで言われたにもかかわらず、今回突き付けられた現実はあまりに過酷なものだった。【NY在住/JUNKO】