『脳男』で美しき殺人者を演じた生田斗真、役作りの秘訣は“引きこもり生活”
生田斗真が美しき殺戮者を演じる『脳男』の完成披露試写会が1月17日、TOKYO DOME CITY HALLで開催。生田をはじめ、松雪泰子、江口洋介、二階堂ふみ、太田莉菜、瀧本智行監督が登壇した。新境地に挑んだ生田は「気合いが入っています!とんでもない映画ができたと自信を持っています」と笑顔を見せた。
原作は、第46回江戸川乱歩賞を受賞した首藤瓜於の同名小説。天才的な知能と恐るべき身体能力を持ち、正義のためには殺人すら厭わない“脳男”と、彼を追う者たちの姿を描くバイオレンスアクションだ。感情を持たない脳男という、今までのイメージを覆す難役に挑んだ生田は、「死んだ目になるように、引きこもり生活を続けた。ソファーの上で何時間も動かないとか」と役作りの秘訣を告白。「気持ち的にも落ち込んできて、辛かったです。でも、それだけ説得力が出たんじゃないかと思う。それくらいやらないと演じ切る自信がなかったので、やれることは全部やろうと思った」と役柄への熱意を語った。
脳男を救おうとする精神科医役の松雪も、「斗真君の放つエネルギーが圧倒的だった。私は、感情がないという人物に質問を投げかけていく役ですが、何を投げかけても跳ね返されるような、焦りを感じてしまうようなエネルギーだった」と、生田の演技に圧倒された様子だ。「生田君演じる脳男が感情がないとしたら、僕の役は野性的な役」と自身の役柄を分析したのが、熱血漢の刑事を演じた江口だ。続けて、「台本を読んだ時から、どうしてもやってみたい役だった。映画のなかで色々な正義が絡み合って、世の中で正義と言われるものが歪んでいく。最後は心がワサワサ震えるような作品になっている」と、興奮気味に話してくれた。
脳男と対峙する連続爆弾魔に扮した二階堂は、「どうも、連続爆弾魔をやりました二階堂です」とキュートに微笑み、会場の笑いを誘った。監督はそんな二階堂について、「すさまじいほどのキレっぷりだった」と大絶賛だ。さらに「ところどころ、17歳の二階堂ふみの素顔が垣間見える感じがして、映画史に残るヒールになった」とコメント。また、爆弾魔の犯罪に加担していく女性を演じた太田に関しても、「作品のなかで、ものすごい急成長をした。スタッフみんなで『すごいな、彼女は』と言っていた。自由に堂々と演じてくれた」と話すなど、キャスト一人、一人に心を込めた賛辞を贈り、「粘り強い、諦めの悪いスタッフの執念でこんな素晴らしいキャストが集まった」と感無量の様子だった。
監督も見どころは「役者」と宣言。それぞれが新境地に挑み、魂を込めたと胸を張る『脳男』。ゾクゾクするような心理描写、迫力の爆破シーンも圧巻で、是非スクリーンで楽しみたい一本だ。【取材・文/成田おり枝】