社畜と家畜だけの社会で弱者はどう見分ける?
人類が社畜(=支配層)と家畜(=被支配層)に二分され、前者が後者を徹底的に管理する社会。そんな近未来のディストピアを描き、本国フランスで問題作として話題になったSF『カレ・ブラン』が4月6日(土)より公開される。
本作で描かれるのは、社畜による支配が極限まで推し進められた社会だ。家畜はその身分を脱するべく、社畜の施す弱者判別テストを受けるのだが、このテストがあまりにも変わっている。机の上に並べられたおびただしい数の電話の中から鳴っている受話器を取らせたり、一本のボトルに入った液体を4人でいかにして飲み干すか、壁に背中を付けさせた状態で後ろに下がれと命じたりと、露骨な暴力に訴えないのが逆に不気味なのだ。それを平然と受け入れている家畜たちの姿にも、薄ら寒さを覚えてしまう。
そんな本作は、多少の暴力シーンはあるものの、性描写などがないにも関わらず、公開が規制された珍しい作品でもある。特に、死んだ家畜が人肉加工場でミンチにされ、当たり前のように社畜たちの食卓に供されるという世界観が問題視されたようだ。そんな世界をごく自然なものとして淡々と描いているだけに、よりセンセーショナルな作品として映ってしまったのだろう。
作品全体に異様な緊張感と閉塞感が漂う本作。不条理でダークな近未来社会をのぞいてみてはいかがだろうか。【トライワークス】
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