アカデミー賞の呼称をオスカーに統一
今年の第85回アカデミー賞授賞式の制作側は、数週間前から意識的に「第85回アカデミー賞」ではなく「オスカー」という呼称を使用しているそうで、インフォーマルな呼び方で同賞のイメージを刷新する意図があるという。
英紙ガーティアンによれば、「僕たちは、賞のブランドを再生しようとしている。僕たちは受賞式を『第85回アカデミー賞』とは呼ばない。それを使う限り、古臭いやり方から抜け出せないんだ。だから『オスカー』と呼ぶ。グラミー賞みたいなもんだよ」と、今年の受賞式の共同プロデューサーであるニール・メロンは語っている。
オスカーとは、アカデミー賞各部門の受賞者に贈られる金メッキの人型彫像、オスカー像に由来するアカデミー賞のニックネームだ。グラミー賞は、各部門の受賞者に贈られるグラモフォン(蓄音機)型のトロフィーにちなんで付けられた名称であり、最初はグラモフォン・アワードと呼ばれていたのが、短縮されてグラミー賞になった経緯がある。
アカデミー賞受賞式の視聴率は1998年をピークに長期的な落ち込みを見せており、アン・ハサウェイとジェームズ・フランコが司会を務めた2011年は特に低い視聴率を記録している。視聴率の奪回が近年の受賞式のテーマになっており、ブランド再生の必要性もそうしたところから来ているのだろう。
しかし、アカデミー内部には呼称の変更を喜ばない人々もいるようで、「今回の受賞式にはふさわしい呼び名かもしれませんが、来年また『アカデミー賞』と呼ぶことになる可能性もあります」とアカデミーのスポークスパーソンは語っている。【UK在住/ブレイディみかこ】
作品情報へ