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『探偵はBARにいる』製作者たちが語る北海道ロケの魅力

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『探偵はBARにいる』製作者たちが語る北海道ロケの魅力

『探偵はBARにいる』(11)、『のぼうの城』(11)など、北海道ロケ作品のヒットが相次いでいる。そんななか、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2013で、映画が地域にできること、地域が映画にできることを話し合う「北海道ロケ トークスペシャル」が開催。特別ゲストとして、『スイートハート・チョコレート』の篠原哲雄監督、『探偵はBARにいる2』(5月11日公開)の須藤泰司プロデューサー、『じんじん』(初夏公開)の深津修一プロデューサー、さっぽろ産業振興財団の一橋基、『しあわせのパン』(11)の鈴井亜由美プロデューサーが登壇した。

映画の街・夕張をロケ地とした『スイートハート・チョコレート』の篠原監督は、「本作のプロデューサーは中国人なんですが、ちょうどゆうばり映画祭が復活した頃に夕張に来たそうなんです。その時の印象から、夕張で映画を作りたいという熱い思いが生まれて。なおかつ中国では冬の北海道が人気があるんです。僕も夕張には思い入れがあったので、これは渡りに舟だと」と製作の経緯について言及。「夕張では、初詣のシーンを撮影する時に、寒いなか60人の方々が参加してくれたり、豚汁を振る舞ってくださったり、心も体も温まる思いでした」と地域の人々の支えに感謝しきりだ。また映画には、夕張市長も本人役で登場しているそうで、「上海と夕張の友好関係について話している。市長が市長役で出演しているというのは、夕張市としては記録になるんじゃないでしょうか」と笑顔を見せた。

「札幌市の全面的な協力のおかげで、日本映画ではなかなか見たことがない街頭撮影が実現した」と言うのは、『探偵はBARにいる2』の須藤プロデューサーだ。主演が札幌で絶大な人気を誇る大泉洋とあって、「街の人も、『洋ちゃんの映画なの!?頑張ってね!』と親戚の親戚くらいの感じで、応援してくれる(笑)」と、同作ならではの強みを話し、会場の笑いを誘った。

行政の観点から見ると、札幌市は日本国内では唯一のコンテンツ特区として指定され、2012年に立ち上げられた札幌映像機構が特区を力強く牽引している。須藤プロデューサーは「真夜中の0時から朝の5時まで、駅の二区間分を道路も一緒に封鎖して、撮影をさせてもらった」と、特区ならではの撮影についてコメント。行政側から参加した、さっぽろ産業振興財団の一橋は「特区を設けたからといって、すぐに変わっていくことは難しい。これからもっと規制に踏み込んで、撮影しやすい環境を作っていきたい」と意欲的に語ってくれた。

また『じんじん』は、北海道剣淵町でオールロケに挑んだ。深津修一プロデューサーは「剣淵って何もない街と思われているけれど、剣淵は本当に人が良い街。心が浄化されていくような思いがする。映画を見て、剣淵に行ってみたいと思ってもらえれば」と思いを吐露。洞爺湖町・月浦をロケ地に選んだ『しあわせのパン』の鈴井プロデューサーは、「公開後、女性が数多く月浦を訪れていたり、パン屋さんを描いた映画の影響か、この一年間でパン屋さんがすごく増えた」と、様々な映画の成果について話してくれた。

道内ロケ製作者が、課題と希望を熱く語ってくれたトークイベント。地域の人々が映画作りを支え、また映画も地域活性化に貢献している。人と映画の関わり方の多様性に、明るい未来が感じられた。【取材・文/成田おり枝】

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