難役リンカーンを演じたダニエル・デイ=ルイス「困難な役に挑むのは役者の本能」

インタビュー

難役リンカーンを演じたダニエル・デイ=ルイス「困難な役に挑むのは役者の本能」

第16代大統領エイブラハム・リンカーンのリーダーの資質と、政治家として、そして家庭人としての知られざる真実を描いた『リンカーン』(4月19日公開)。本作で主演を務めたダニエル・デイ=ルイスのインタビュー映像が公開された。

本作で生き写しの外見だけでなく、リンカーンが憑依したかのごとく熱演したダニエル・デイ=ルイス。第85回アカデミー賞では5度目のノミネートにして、史上初の3度目の主演男優賞を獲得。これまでに主演男優賞を2度獲得しているのは、スペンサー・トレイシー、フレドリック・マーチ、ゲイリー・クーパー、ダスティン・ホフマン、トム・ハンクス、ジャック・ニコルソン、ショーン・ペン、そしてダニエル・デイ=ルイスの8人のみだ。

英国人俳優ダニエル・デイ=ルイスは、一年間の準備期間を条件にアメリカの象徴でもある大役のオファーを受諾。リンカーン関連の書物やリンカーン自身が書き残したものを徹底的に読み漁り、19世紀の生活に慣れるため、妻メアリー・トッド・リンカーンを演じたサリー・フィールドと、当時の文体で手紙の交換を4ヶ月間行い、夫婦としての役作りも行った。あの特徴的なウェーヴのかかった髪型に似せて自分の髪を伸ばし、髭を生やし、そして約一時間半のメイクを施してリンカーンを作り上げたのだった。

本作の撮影を終え、ダニエル・デイ=ルイスは「終わった直後は、複雑な気持ちになる。参加した役者のほとんどは、有意義な時間を過ごしたと思っているだろう。これだけの映画を作り上げた直後に、次回作のことを考えるのは簡単なことではないよ。だけど、今回の作品はかなり特殊なケースで、同時に二つのことが起きている感じだ。一つはエイブラハム・リンカーンという、偉大な人物を演じることへの名誉だ。そして二つ目は、今回の仕事が刺激的だったこともあり、それだけ悲しみと喪失感も大きいということだ。たとえ歴史上の人物でも、自分が尊敬している人を演じる機会なんて二度とないかもしれない」と心境を吐露している。

今回の難役について、「リンカーンを演じるのは挑戦の連続だった。困難な役に挑むのは、役者の本能でもある。ただ、役者として絶対にしちゃいけないのは、自分が偉大な俳優だと思い込むことだ。特に今回のような役だと、自分を追い込んでしまいがちだ。逃げ出したくなってしまう。だから、今回のような場合は、リンカーンに対する尊敬の念を捨てるんだ。失礼かもしれないけど、必要なことだ」と明かしている。全てに対して全身全霊を懸けて臨むダニエル・デイ=ルイスの姿勢は、俳優になるために生まれたと言っても過言ではないかもしれない。【Movie Walker】

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