公共の乗り物での学生たちのイタズラ、どこまで許せる?
仲間と一緒にいるうちに気が大きくなり、ついついはしゃぎ過ぎてしまう。学生時代には、誰もが一度はそんな経験をしたことがあるのではないだろうか?中にはたちの悪いイタズラを仕出かしてしまう者もいるが、そんな青春時代をモチーフに、悪ガキたちの過激かつナイーブな姿を描いた映画が登場した。それが、『エターナル・サンシャイン』(04)で知られるミシェル・ゴンドリー監督の最新作『ウィ・アンド・アイ』(4月27日公開)だ。
本作で描かれるのは、ある高校生たちの下校風景と、彼らが通学バスの中で行うイタズラの数々だ。バスに乗っている小学生を荷台に吊るす程度は当たり前。他にも、ゲイのカップルにキスを迫り、挙句の果てにはお婆さんに精液に見立てたバニラシェイク(?)をぶっかけるなど、彼らのイタズラは留まることを知らないのだ。もはや“他愛もないイタズラ”では済まされないレベルのものばかりだ。
ところが、ただイタズラばかりを描いて終わらないのが本作の最大の魅力なのだ。バスが終点へ向かうに連れ、一人また一人と生徒たちが降りていき、少しずつ車内は静寂に包まれていく。その時になって初めて、残された少年少女たちの秘められた本当の姿が見えてくるのだ。友達の前ではやりたい放題に振る舞っていた少年が、実は傷つきやすい一面を持っているなど、ティーンエイジャーの残酷性と純粋性を同時に描いた本作は、青春ドラマの王道と言っていい出来となっている。
ミシェル・ゴンドリー自身の体験を基にしたという本作は、彼の最もパーソナルな作品であり、早くも最高傑作との呼び声が高い。自らの学生時代と重ねて見てみてはいかがだろうか?【トライワークス】
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