榮倉奈々が『図書館戦争』で知った肉体作りのコツとは?
有川浩の人気小説の映画化『図書館戦争』(4月27公開)が、理想的なキャスティングで実現。図書隊の教官・堂上篤役に岡田准一、部下の図書隊員・笠原郁役に榮倉奈々。これは、雑誌「ダ・ヴィンチ」の読者アンケートで、実写化したら演じてほしい俳優No.1の組み合わせだ。本格的なアクションに大奮闘した榮倉にインタビューし、役作りやトレーニングの撮影裏話について聞いた。
『図書館戦争』は、武力による検閲から本を守る防衛組織、図書隊の活躍を描くパラレルワールドの物語。笠原郁は、高校時代に出会った図書隊員に憧れ、女性初の図書特殊部隊(ライブラリータスクフォース)となる。郁役にはどういう思いで臨んだのか。「『図書館戦争』や有川先生のファンの方たちに、とても大切な笠原郁役を任せていただけたことは、すごく嬉しかったです。ただ、みなさんの世界観を壊したくなかったですし、何よりも期待に応えたいとは思いました。映画ならではのことができたらいいなと思い、そのプレッシャーの方が強かったです」。
榮倉が郁役に決定したのは撮影の半年前くらいだ。「早速、トレーニングを始めたのですが、今まで本格的に体を動かしたことがなかったので、腰を痛めてしまいました。それでしばらく激しい運動ができなくなり、そこからドラマの撮影に入ってしまって。その空白の4ヶ月間も、行ける時にはトレーニングに行きましたが、元自衛隊の方が指導される訓練にはなかなか参加できませんでした。ようやく撮影の2週間くらい前から軍事指導のトレーニングや、体作りができるようになりました。もちろん撮影中もやっていました」。
体を痛めた時、焦ったりはしなかったのか?と聞くと、「何か唖然としました」と、表情を変えずに答える彼女。「大丈夫かな?撮影に入れるのかなとは思いましたが、すぐに良いトレーナーさんに出会えて、体の不調を早く治してくれました。もちろん自然治癒ですが、自分の体で治すことを教えてもらったので、焦りはなかったです。時間さえあれば、もっとやりたかったですし、限られた時間内でやらなければいけない悔しさはありましたが、できることはやろうと思いました」。
もともとスポーツは苦手な方だという榮倉。「運動はそんなに好きじゃなくて。でも、今回ちゃんと専門的なトレーナーさんに出会えてからは好きになりました。効率の良い体の動かし方をすれば、短時間で必要な筋肉をつけられることがわかったので。しかも、やれば成果が出るんです。体が軽くなるし、体脂肪率も落ちる。撮影自体がハードなので、それを乗り越える体力もほしかったから、本当に良かったです」。
教官・堂上篤役の岡田准一とは初共演となった。「想像以上にストイックで、プロフェッショナルな方でした。現場で素を見た瞬間は一度もなかったですが、それはたぶん、私に対して、堂上というイメージを崩さないように接してくださったからだと思います。今も宣伝で会ったりして、話をする場面はたくさんあるんですが、それでもやっぱり(堂上のイメージを)崩さないでいてくださっている気がします」。岡田のキレのあるアクションを間近で見た時は感激したそうだ。「すごいですね。迫力があってびっくりしました。でも、映像は映像でしっかりとその良さをとらえていたので、佐藤監督もすごいなと思いました」。
初めて本格的なアクションに挑んだ手応えについても聞いてみた。「今回、格好良く撮ってもらって嬉しかったですが、アクションに関して自分はまだまだなので、また信頼できるスタッフの方たちとご一緒できるなら、是非頑張ってみたいです」。
すらりとした長身で、ひたむきな笠原郁役は、まさに榮倉奈々にうってつけのはまり役となった。豪快な体育会系キャラと、初恋をずっと胸に秘めた乙女なキャラとのギャップが最高にチャーミングだ。前述のとおり、原作ファンお墨付きのキャスティングだが、完成した映画を見れば、その結果が間違っていなかったことを実感するに違いない。【取材・文/山崎伸子】