あの微笑みデブがオカルト犯罪の研究者に!
「貴様らは人間ではない。両生動物のクソをかき集めた値打ちしかない!」という強烈な新兵訓練のシーンで有名なスタンリー・キューブリックの『フルメタル・ジャケット』(87)。教官のハートマン軍曹が放つセリフの破壊力もさることながら、それ以上の衝撃を与えたのが、鬼軍曹にしごかれ狂ってしまう新米スナイパーの微笑みデブだ。この役を演じ、一躍有名になったヴィンセント・ドノフリオが、5月11日(土)公開の映画『フッテ―ジ』では意外な役で登場している。
『フッテ―ジ』の主人公は、過去にヒット作を出したものの、最近ではすっかり落ち目のノンフィクション作家。再起したい彼は、新作執筆のため一家惨殺の現場となった郊外の家に越して来る。と、まるでキューブリック監督の『シャイニング』(80)を彷彿とさせるような設定だ。劇中、ある8mmフィルムを発見したことが引き金になって、この作家に恐怖と呪いが襲いかかる。実はそのフィルムが、首つり、溺殺、焼殺、刺殺、轢殺など惨殺映像がオンパレードなスナッフフィルムだったのだ。
『ザ・セル』(01)では変態性欲のサイコキラーを演じるなど、ぶっ飛んだ役の印象が強いドノフリオが、本作で演じるのは犯罪を研究する真面目で知的な大学教授。イーサン・ホーク扮する作家に、オカルト犯罪の知識をあれこれと披露するドノフリオは博学そのもので、微笑みデブのあの面影はもうない?ドノフリオの新境地に注目しながら、予想だにしない恐怖を味わってほしい。【トライワークス】
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