全米で大ヒットした、史上初の黒人メジャーリーガーをめぐる感動作の日本公開が決定
白人選手以外に開かれることのなかった米メジャーリーグ界の堅牢な門戸をこじあけ、史上初の黒人メジャーリーガーとなったジャッキー・ロビンソンの姿を、実話を基に描いた感動作『42 世界を変えた男』が11月1日(金)より公開されることが決定した。
黒人への差別が色濃く存在していた1947年、ブルックリン・ドジャースのGM、ブランチ・リッキー(ハリソン・フォード)は周囲の猛反対を押し切り、初の黒人メジャーリーガーとなる若者ジャッキー・ロビンソン(チャドウィック・ボーズマン)と契約する。すぐにロビンソンとリッキーは一般大衆、マスコミ、さらに同チームの選手たちからさえも執拗な糾弾を浴びてしまう。しかし、背番号「42」を背負ったジャッキーは、並々ならぬ勇気と誇りで反撃しない自制心を貫き通す。そんな彼が見せる最高のプレーに、批判に満ちていたチームメイトやファンたちはやがて魅了されていく。
4月12日に全米公開された本作は、約2730万ドルの興行収入でNo.1大ヒットを記録した。日本でのロビンソンの知名度はそれほど高くないが、アメリカでは広く知られる伝説の選手だ。1997年、彼の背番号「42」は全球団で初の共通の永久欠番になった。そして彼がドジャースで初出場した4月15日は、各球団の全選手が背番号「42」のユニフォームを身につける“ジャッキー・ロビンソン・デー”と制定されている。
今回、本作で高い評価を得ているのがフォードの熱い演技だ。長いキャリアでも実在の人物を演じたことがなかったフォードは、脚本段階でリッキーに魅了されリサーチに熱中したという。「これは不平等という問題と対峙するために踏み出した重要な一歩を踏み出した素晴らしい物語だ。私はブランチ・リッキーをぜひとも演じたいと思った」と語っている。さらに、実際のリッキーに似せるため特殊メイクをし、昔の映像を見て、リッキーの独特の喋り方に近づけるような役作りも行った。これは以前から「あまり映画に興味がない」と語り、仕事で必要以上の努力をしないことから“省エネ俳優”と称されることもある彼にしては異例なこと。そうした本作への入れ込みぶりは観客、批評家を唸らせ、早くも賞レースに絡むだろうとの声が上がっている。
ジャッキー・ロビンソンが入団するまで有色人種の野球選手はメジャーリーグに存在していなかったことを考えると、彼がいなければ野茂やイチローもメジャーリーグで活躍できなかったかもしれない。そんな世界に本当の自由を示したヒーローの、熱い真実のドラマに注目したい。【Movie Walker】