人間と妖怪の異色ラブ・ストーリーで日香コラボ
第一回沖縄国際映画祭2日目の3/20、アジア映画3作品の記者会見が質疑応答形式で行われた。
まずは香港発、人間と妖怪が入り乱れての異色ラブ・ストーリーの『Painted Skin』から。ゴードン・チャン監督と音楽を担当した藤原いくろうが登壇した。
――沖縄の印象は?
ゴードン・チャン監督(以降、監督)「今回で3度目になりますが、まずリラックスという言葉が浮かびます。以前にここで撮影した時にも味わいましたが、情熱が他の地域とは違っていますね」
――藤原さんの音楽はどうでしたか?
監督「藤原さんにお願いできてラッキーだった。幸せです」
――藤原さんは監督については?
藤原「光栄な話です。フィルムを見た瞬間に、自然に音が浮かび上がってきた。感性の揺れがぴったり合っているだなと思いました」
――沖縄国際映画祭の感想は?
監督「コメディ映画の映画祭が生まれたことに感銘を受けました。コメディは観客にとって最も重要ですが、世界の映画祭でコメディに賞を与えるものがありません。私はコメディへのリスペクトが欠けていると思っています。そういう意味でも、得がたい、有り難いチャンスだと思います」
――映画祭のコンセプト“Laugh & Peace”にまつわるエピソードを聞かせてください
監督「招いてもらったのは嬉しいですが、びっくりしました。この作品は中国ではホラーだったんですよ(笑)」
――作品の見所は?
監督「見た目はホラー、内容はラブストーリーで、音楽がとても重要です。2人の女性と1人の男性の三角関係ですが、展開に意外なところがあるので是非見てもらいたいです。主演のチェン・クンをはじめ役者の演技も素晴らしいですよ」
――日本と音の付け方は違うのですか?
藤原「自分のスタイルでやらせていただけて感謝しています。監督自ら、自宅まで来ていただき、小さなスクリーンでフィルムを見ながらピアノで音をつけました。スケール感を大切に優しい音を心がけました」
監督「言葉は通じないが、一緒に仕事をして楽しかったです。映画を見ながら音楽を聴いて本当に感動しました。きっと忘れられないでしょう」
――おもしろいエピソードがあれば教えてもらえますか?
監督「おもしろい、というわけではありませんが、印象に残ったことが一つあります。音のリミックスは中国の女性が担当したのですが、その彼女はある場面になるといつも涙を流すんです。なぜいつも泣くのか?と聞くと、『だってこんなステキな音楽と映像に感動しないはずがない。自然に涙が出てくるんです』と答えました。私もその通りだと思いました」
――今後の沖縄国際映画祭はどうなっていくと思われますか?
監督「色々な映画祭に行きましたが、こんなに長いレッドカーペットは初めてでした。両サイドにたくさんの観客がいて、市民の皆さんはとても熱心ですね。これからますますよくなっていくと思います」
――原作小説があり、名作として一度作られていますが、これについては?
監督「他の方のやったことを繰り返す必要は全くないと思っています。今、撮るということが重要です」
名作とは日本でも話題になったレスリー・チャン、ジョイ・ウォン主演「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」だ。今回、特別招待作品ということで日本公開は未定だが、ゴードン・チャン監督の撮る夢幻的な映像美はスクリーンでこそ見てみたいものだ。【取材・文/真野博之】