松本潤は「敏感にセンサーが働く人」と上野樹里と小川真司Pが絶賛!
松本潤&上野樹里を迎えた、心洗われるファンタジックラブストーリー『陽だまりの彼女』が、10月12日(土)より公開される。プロデューサーは、『ジョゼと虎と魚たち』(03)、『グーグーだって猫である』(08)に続いて3度目のタッグとなった小川真司で、人間の心のあやを繊細につむぐ作品群を手掛けてきた。上野は小川プロデューサーについて「常に物語に寄り添って作品を見極めていらっしゃる」とリスペクトする。そんな2人が、待望の最新作に懸ける熱い思いを語ってくれた。
10年ぶりに再会した中学時代の幼なじみ同士の恋を、『僕等がいた』(12)の三木孝浩監督が温かく綴った本作。上野にとっては『のだめカンタービレ 最終楽章 前・後編』以来3年ぶりの映画出演で、しかも小川からの3度目のオファーということで、2つ返事でOKしたのかと思いきや、意外にもそうではなかった。小川は「最初に、一度会ってくれと言われたんです。その時、彼女はすでに原作や脚本を読んでいて、いろいろと内容のことを聞かれました」。
実はその行動は、上野が心から信頼している小川の意を何よりも尊重したいと思ったゆえのものだった。「まず、小川さんや三木(孝浩)監督が、本当に私でやりたいと思ってくれているのかどうかを確かめたいと思いました。小川さんにお会いし、本当に私を望んでいただいているのだとわかって、ほっとしました。やっぱり監督や小川さんが、作品を楽しんで作ってもらえるような環境で自分もやりたかったので」。改めて、上野の生真面目さと誠実さが伺える。小川はその時のことを思い返し「久しぶりに会って、ちょっと大人っぽくなっている感じがしました」と頬をゆるめる。
『陽だまりの彼女』の現場について上野は「良い意味でモチベーションを保てたというか、自分の中でちゃんと役を落とし込めた気がします」と手応えを口にした。「今回は撮影に入る前に全部できていたので、現場では楽しむだけでした。他に監督とディスカッションしたい人たちがいたら、その方たちに時間を割いてもらえばと。とにかく、自分のことで監督が時間を取っていただくことがないようにしたかったです」。小川も「現場が楽しいと、そういう雰囲気が画面にも出ますからね」とうなずく。
小川にとって本作には特別な思いがあった。「また、上野樹里と映画をやれるってことで、かなり力が入っていました。僕にとっても、会社を辞めてから1本目の作品だったし」。上野も「そこで呼んでもらえたのもありがたくて。小川さんの人生がかかっているから、これはもう頑張るしかないと思いました」と気合十分だったよう。「ちょうどその時はお休み中でしたが、自分からやる!と、前のめり姿勢で挑んだ作品でもあります。良い話をいただけたら、私はやる気が湧き出てくるタイプなので」。小川も「縁ですね」とうなる。「上手く行く時は縁があるし、行かない時は縁がない。やっぱり樹里ちゃんとは縁があると。だから僕、最初に衣装合わせで会った時、花嫁の晴れ姿を見るお父さんみたいな気持ちになり、感動して泣きそうでした」。上野は「え?衣装合わせで!とてもありがたいです」と大喜びだった。
本作では、初恋に生きるヒロインをピュアに演じ切った上野。小川は「役が役だけに、すごく難しかったと思います。でも、今回もやってくれるだろうという期待と安心感はありました」と太鼓判を押す。上野も「小川さんの思いが“気”みたいに伝わってきたので、自分も頑張ろうという気持ちがずっと続きました。小川さんは良い緊張感が発するというか、距離感はあるけど、コミュニケーションはビシっと取れている感じがします」と語る。小川も「樹里ちゃんも今は10年以上キャリアを積んだ女優さんになったし、そこはプロとプロとの信頼感みたいなものがあります。もちろん、変わらない部分は全然変わらない。真っ直ぐさや、一生懸命なところは昔のままです」と優しい目線を彼女に落とした。
また、現場では、松本潤の力も大きかったと、2人が口を揃えて絶賛する。上野が「松本さんは、いろんなことに対して敏感にセンサーが働く人でした。今までそんなことを、現場で他の人に対して感じたことはなかったんですが。今回は全部、彼に任せきりで、自分は一歩、内側にいられて、楽しむ余裕がいただけたかなと。心を許せたし、2人でタッグを組んで作っている感じがしました。三木監督も細部までちゃんと神経が行き届いていたので、髪やメイク、衣装、心情などがどう変化していくのかを、全部話し合うことができました。映画自体も自分の好きなテイストだと思います」。
最後に2人が、本作をこうアピール。小川プロデューサーは「何気ない日常のシーンの1つ1つが素晴らしい。それは、三木さんの演出と、ふたりの自然体での存在感の賜物です」と力強く語ると、上野も「本作を見てもらって、単純に開放され、癒やされて、自分は愛されて生きているんだと思えたら良いなあと。大きな展開や悲劇なども、本作ではわりと優しく包まれています。だから流す涙は、はかなくて切ないのに、温かさがずっと奥にある。そういうものを、こんなに大きな規模でたくさんの人に届けられるのは、とても幸せなことです」。【取材・文/山崎伸子】