真田広之の青年時代を演じた石田淡朗「2つの難しさがあった」
第26回東京国際映画祭特別招待作品『レイルウェイ 運命の旅路』(2014年4月公開予定)の舞台挨拶が、10月19日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで開催され、出演の石田淡朗、ジョナサン・テプリツキー監督、プロデューサーのクリス・ブラウン、アンディ・パターソンが登壇。残念ながら、海外での撮影のために帰国が叶わなかった真田広之からは、心のこもったメッセージが会場に届けられた。
本作は、「エスクワイア誌」ノンフィクション賞を受賞したエリック・ロマークスの自叙伝『The Railway Man』を基に、第2次大戦中に日本軍に捕われたイギリス人将校と日本兵通訳の姿を追う感動の物語だ。出演には、コリン・ファース、ニコール・キッドマン、真田広之ら豪華実力派俳優が集結している。戦中の記憶に苦しめられながらも、イギリス人将校と日本兵が過去の遺恨を乗り越えていく様子が描かれるが、テプリツキー監督は「嘘のように思われるかもしれないけれど、これは真実のストーリー。復讐の物語ではなく、将来を見つめる物語です」と会場に語りかけた。
「日本人の素晴らしい俳優を2人も迎えられたのは、我々にとっても嬉しいこと」と笑顔を見せたテプリツキー監督。真田演じる元日本人通訳・永瀬の若き頃を演じたのが、ロンドンを拠点に活躍する日本人俳優・石田淡朗だ。石田は「永瀬という役柄としての難しさと、真田さんと同一人物を演じる難しさ。2つの難しさがあった」と述懐。「お会いする前に、永瀬さんが亡くなられてしまったので、直接お話をすることはできなかった。当時、軍人であったことがどのようなことであったのかを考えながら役に臨みました」と熱を込めて語ってくれた。
また、舞台挨拶に出席できなかった真田からは、手紙で会場にメッセージが届けられた。テプリツキー監督が「本作は、イギリス、オーストラリア、そして日本のスタッフ、キャストが一丸となって創り上げました。そこに大きな意義を感じるとともに、まさに今、世界中に必要なテーマが描かれているのではないかと思います」と真田からの手紙を読み上げると、会場からも拍手が沸き起こっていた。【取材・文/成田おり枝】