童貞男・満島真之介と風俗嬢・佐々木希「風俗演じ終わったら人生変わった」

インタビュー

童貞男・満島真之介と風俗嬢・佐々木希「風俗演じ終わったら人生変わった」

巨大インターネット掲示板2ちゃんねる発のラブストーリーを映画化した『風俗行ったら人生変わったwww』(11月9日公開)。本作で、29歳の童貞男・遼太郎役を演じた満島真之介と、ワケありの風俗嬢・かよ役を演じた佐々木希にインタビュー。

「自分はダメだ」と常に何ごとも諦めていた遼太郎が、自分を変えようと一念発起し、初めて風俗へ行く。吃音で女性の前ではドギマギし、興奮がピークになると過呼吸に陥る遼太郎。満島は役作りとして、いろんな先入観を取り払うところからスタートした。「イメージを捨て去ること。風俗嬢もそうだけど、みんなが特殊だと思っているような人を、自分たちの想像だけで完結させないことが今回の僕のテーマでした。心のなかをデトックスさせ、真っ白な空っぽの状態にしてから役に入ることを常に考えていました」。

佐々木が演じるのは、遼太郎が一目惚れをする心優しい風俗嬢・かよ役だ。佐々木はまず、風俗嬢についてリサーチをするところから始めた。「風俗をされている方の日記などを見て、その方たちが普段どんなことを考えて、お仕事をしているのかを調べていきました。好きでやっている方もいるし、いろんなことがあって辿り着いた方もいる。そういう人たちの気持ちを知りたいと思いました」。

アプローチの仕方は違ったが、撮影現場ではすぐに意気投合できたという2人。満島は「最初にすごく良い空気感が生まれました」と振り返る。「遼太郎とかよとの出会いもそうだったと思いますが、暗い部分、明るい部分の両方を含め、自分にないものをこの人は持っているんだろうなと一瞬で思えたのです。だから希ちゃんと仲良くなるのに、全然時間は必要なかった」。佐々木も「すぐに仲良くなれたよね」とうなずく。

満島が「あんまりそういう人には出会えないですね。ましてや男女だと、いろんな思考が働いたりしますが、この二人はすごくフラットでした」と言うと、佐々木も「私も自分で珍しいと思いました。ここまですぐに仲良くなれたり、素直に飛び込めたりしたのは初めてだったので。役作りをしようと考えなくても、その時々の感情が作らなくても出てきました」と笑顔を見せる。満島も「希ちゃんの中にかよが持っている明るさや暗さもあり、僕のなかにも遼太郎のように何か変わりたいと思っている願望がすごくあっったから、それぞれの役に命を吹き込めたのかもしれないです」。

遼太郎の奮闘ぶりに、とても感銘を受けたという佐々木。「自分を変えることってやっぱり勇気がいりますよね。遼太郎がその勇気を出してくれたから、かよは本当に感謝したんです。自分のためにそこまで一生懸命になってくれる人って人生においてなかなかいないから。それにかよは、これまで生きてきてマイナスなところがあったからこそ、プラスになれたというか。かよは、これまで男の人に騙された経験があったからこそ、遼太郎の良さに気づけたのかもしれない」。満島も、遼太郎とかよの関係性について「かよに助けられた遼太郎がいて、かよを助けた遼太郎がいる。それぞれが持ちつ持たれつの感じだったんです」と分析。

また、2人とも「本作での出会いはとても大きかった」と言葉をかみしめる。満島は「今回は、出会いのタイミングが合った2人だったと思います。奇跡的でありながらもすごく必然だったかなと。僕が童貞の役、希ちゃんが風俗嬢の役というのも、あまり想像できないキャスティングだったかもしれないけど、そこを敢えて攻めてくれたのは、僕らとしてもうれしかった。そこからは前進あるのみ。現場では、監督やスタッフの方々と深く共鳴できた瞬間がたくさんありました。だからこそ僕は素直に、子供の頃のような感覚で真剣に遊びに没頭していたような感じでした」。

さらに満島はこう続ける。「最初にプロデューサーたちと、『風俗行ったら』じゃなくて、『風俗演じ終わったら人生変わった』と言えるようなものにしたいと冗談まじりで言っていたのですが、実際にそうなりました。仕事に対してもそうですが、人として1つ階段を上ったなと強く思いますし、人との関わり方が随分変わってきた。そういう変化が確実に画面に映っていると思います」。佐々木も「私もそう。現場が本当に楽しくて、現場でのあり方について、毎日考えていました。今回この作品に出会えて演じることの楽しみに気付けたので、感謝の気持ちでいっぱいです。本作をやったことで、もっともっとこのお仕事が好きになれた気がします」。【取材・文/山崎伸子】

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