イ・ビョンホン、“割れた胸筋”シーンは完璧な体を要求されたから
親日家で知られるイ・ビョンホンが、主演映画『王になった男』(12)、『G.I.ジョー バック2リベンジ』(13)に続き、ブルース・ウィリス主演の痛快アクション映画『REDリターンズ』(公開中)のキャンペーンで3度目の来日。本作でも前作に続き、筋肉隆々のセクシーな肉体で、見る者をくぎ付けにするシーンがある彼にインタビューし、撮影秘話を語ってもらった。
“RED”とは、CIAを引退した超一流のスパイチームのコードネーム:RED―Retired Extremely Dangerous(引退した・超・危険人物)のこと。フランク(ブルース・ウィリス)たちは、諸事情で現役復帰し、今回も巨大組織に立ち向かう。イ・ビョンホンが演じたのは、フランクが“史上最強の殺し屋”と認める、ハン・チョバイ役だ。
「今回、大変だったのは、英語のセリフでコミカルな演技を見せることでした。この映画は、ジャンルとしてはアクションコメディになると思うけど、自分にとって韓国語ではなく、まだまだ慣れない英語で世界の観客を笑わせなければいけないっていうことで、ハードルが高かった。そういう演技は、その国の文化を知っていないとできないことだと思ったので」。
そう、ハン・チョバイは、プライベートジェットを所有するセレブな殺し屋だが、決してクールでスタイリッシュなキャラクターではなく、熱くなりやすい点などが滑稽で笑いを誘う。「彼は本当にたくさんの熱を持っているというか、内面で熱がどんどん湧き上がっていって、エネルギーが外に噴出する直前のような感じ。つまり、かなり怒りっぽいヤツなんだ。監督からも、ハンというキャラクターは、怒りの部分で笑わせることができるキャラクターだと言われたよ。また、飛行機についてこだわりすぎている点も面白い。そういうところも気をつけながら、役作りをしていったよ」。
『G.I.ジョー バック2リベンジ』に続き、見事に盛り上がったムキムキの胸筋を誇示するような見せ場がある。イ・ビョンホンのファンは「待ってました!」とばかりに拍手を送るであろうシーンだが、イ・ビョンホン自身はどんな気持ちで臨んでいるのだろうか?「できるだけ自信を持って撮影に臨めるよう、前々から準備をしておくよ。俳優って、演じる役柄によっては、平凡な体、あるいはお腹が出ていた方が良いような場合もあるんだろうけど、たまたま僕が出演した最近の数作は、脚本のト書きに“完璧な体”と書いてあるんだ。だから、その体を作るための苦労も伴う。でも、演じるキャラクターを、みなさんに印象づけるためには、やるべきだなと思っている」。
ハリウッドに進出後も、快進撃が続くイ・ビョンホン。英語での演技は、『G.I.ジョー』シリーズの撮影時に比べ、少しは慣れてきたのだろうか?と尋ねると「進歩したかどうかは、なかなか自分では感じられない」と言う。「ただ、周りの方が『以前よりもやりやすくなったように見える』と言ってくださるので、ようやく少しだけ自信を持てるようになったかな。まだまだ英語でセリフを言うことには慣れなくて、かしこまったり、緊張したり、うまくやらなければという気負いが先に立ってしまう。でも、ある時から、考え方を少し変えて、ダンスするように、あるいは歌を歌うように身を任せてしまおうと思うようになった。そうすれば、多少セリフが未熟だったり、発音が上手くいかなくても、感情の流れがつかめるような気がするよ」。
『REDリターンズ』では、ブルース・ウィリスと共にキレのあるアクションシーンを魅せているイ・ビョンホン。常に観客の期待に応えようと邁進し続ける彼は、今後もますます活動のフィールドを広げていきそうな予感がする。【取材・文/山崎伸子】