夫婦役で共演の上戸彩と高良健吾。「似てる」2人が転機を告白!|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
夫婦役で共演の上戸彩と高良健吾。「似てる」2人が転機を告白!

インタビュー

夫婦役で共演の上戸彩と高良健吾。「似てる」2人が転機を告白!

江戸時代を舞台に、日本の台所の息遣いと、夫婦の誠実な心を描く『武士の献立』が12月14日より公開。悩み迷いながらも、一歩ずつ進むべき道を見つけていく主人公たち。見終わった後に、背筋を伸ばしたくなるような清々しい感動作に仕上がった。夫婦役として共演した上戸彩と高良健吾を直撃すると、お互いが「似ている」と顔を見せ合うほど、相性も抜群。2人の思う理想の夫婦像、そして「似ている」の理由とは?

主君とその家族の食事をまかなう“包丁侍”の家に嫁いだ、料理上手のお春(上戸)。しかし、跡取りの夫である安信(高良)は、料理がからっきし苦手。夫婦がぶつかり合い、時にすれ違いながら、心を通わせていく姿が綴られていく。「春は女性として憧れる」と上戸。「出るところは出るけれど、相手に合わせて、引くところはちゃんと引く。女性に生まれたからには、昔の女性のそういうところは大事にしたいですね」と、春から影響を受けた部分も多いよう。さらに「私、着物が大好きで!着物を着ると日本人で良かったなって思えるんです。凛とした気持ちになれる。お仕事を通して、所作やマナー、日本のことを知れるのは嬉しいです」と、時代劇の現場を楽しんだ様子だ。

一方の高良は、時代劇初挑戦。自身の侍姿の感想を聞くと、親指をグッと立てて「こんな感じですよ!」とニッコリ。「今にない心や動きを知れる、そういうもの全てが楽しかったです」と充実の表情だ。「安信は、春と結婚すること、包丁侍になること、どちらも自分の望んだ道ではなかったんです。でもそこで、自分の居場所を見つけようと、きちんと向き合っていく。人生、全部が全部、自分のしたいことができるから良いというわけではない。安信は、ちゃんと自分が今いる場所で、何をすべきかというのを感じて、動いていける人。学ぶべきところも、多かったです」。

春は安信を引っ張っていくような、強い女性だ。この夫婦像をどう感じただろうか?上戸は「安信が春を必要としていることや、お互いを感謝し合う気持ちに、2人は早い段階で気付くことができるんです。本当に幸せな2人だと思います」とコメント。高良は「普段も思うんですけれど」と口火を切り、「楽しい感覚が似ているという人も大切だと思うんですが、さみしい感覚が似ている人も、自分にとってすごく大切」と胸の内を吐露。「安信と春は、きっとさみしい部分が似ていると思う。だからこそ、お互いが成長し合えるし、その人のために何かできる2人なんだと思います」。

インタビュー中も、笑顔を見せ合い、お互いの話に聞き入る上戸と高良。印象を聞くと、上戸は「高良くんは、すごい真面目で誠実で、紳士!真面目だからこそ、この人は何を言おうとしているんだろうとか、すごく深いところまでを探ったり、その上で自分の答えを出そうとしたりと、不器用なところもある」と分析。

高良は「こうやって話すのは恥ずかしい」と照れながら、「上戸さんがこの仕事を始めたのは、10代の早いうちですよね?」と質問。上戸が「12才。お芝居を始めたのが14才かな」と言うと、高良は「上戸さんを見ない日はないじゃないですか。その中で生き抜いてきて、“今ここにある”という経験値はやっぱり計り知れない。他の誰にも経験できないことだと思います」とうなずく。じっくりと語る高良を横に、「そう思ってくれるのが、すごく嬉しい」と上戸。「高良くんは、『自分がこうだったら』と置き換えて、私のことも深く考えてくれる。だからこそ、私も高良くんの立場になることを考えたりもできる」と、2人の間に穏やかな空気が流れる。

安信が“包丁侍”という仕事に責任や楽しさを見出していく姿は、現代人の心にも響くものだ。役者道を邁進する2人にとって、仕事に対する向き合い方が変わった経験などはあるだろうか。高良は「たぶん、この仕事を始めた頃は投げやりだった」と振り返る。「いつやめても良いと思っていたし、人前で何かをするのも向いてないと思っていた」と言うが、「『軽蔑』(11)と、朝ドラ(『おひさま』)をきっかけに変わったんです」と述懐。「朝ドラで、(2011年)3月11日にワンカット撮影をした後に地震がきて。それから撮影を中止して、しばらくして再開したら、たくさん手紙が来たんです。東北の方からも「このドラマが楽しみだ」とか、結婚式を挙げるシーンの後には、電報まで届いた」。

さらに「カメラの前で色々なことが終わって、それでOKだった。それが、自分がやっていることが、人を勇気づけたり、幸せにすることができる。そう思えた時にすごく嬉しくて。『何かを伝えることってやめちゃいけないんだな』と思ってから、この仕事が面白いと思えるようになったんです」と、高良。

すると、上戸も「私も最初、“女優”と言われるのが嫌で」と打ち明ける。「役を演じることで、『上戸彩が好き』と言われても、嬉しいと思えなかった。嘘をついて、ファンを増やすお仕事みたいに思ってしまったんです。でも『(3年B組)金八先生』をやった時に、性同一性障害の方から『命を救ってくれてありがとうございます』とか、『これで僕も堂々と生きていけます』と言ってもらえて。そうやって人生を変えるまでの役に出会えた時に、『女優さんって良いな』と思って。それからは逆に、誰かの人生を動かすくらいの作品に出会いたいと思うようになりました」。

「私たち、似てるね」と顔を見合わせる上戸と高良。人の気持ちを受け止め、どこまでも真っ直ぐにあろうとする姿こそが、「似ている」の理由だった。『武士の献立』はまさに、そんな人々の誠実さが胸に染みる秀作である。【取材・文/成田おり枝】

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