チャン・ドンゴンとぺ・ヨンジュンの共通点とは?『危険な関係』の監督が分析
チャン・ツィイー、チャン・ドンゴン、セシリア・チャンといった、アジアを代表する俳優陣が共演を果たす『危険な関係』(1月10日公開)。彼らの危険なほどに美しく、艶やかな表情に息を呑む大人のラブロマンスに仕上がった。なかでも、百戦錬磨のプレイボーイ役を演じるチャン・ドンゴンの色気には、思わずクラッとしてしまうはずだ。メガホンを取ったホ・ジノ監督に、チャン・ドンゴンの魅力について聞いた。
フランスの作家ピエール・ショデルロ・ド・ラクロが1782年に発表した小説を原作に、プレイボーイのイーファン(チャン・ドンゴン)と妖艶な悪女・ジユ(セシリア・チャン)が、貞淑な未亡人・フェンユー(チャン・ツィイー)を恋のゲームに巻き込んでいく様を描く本作。
チャン・ドンゴンが、これほどまでに“悪い男”を演じるのは初めてではないだろうか。ジノ監督は「イーファンというのは、上海一のお金持ちの息子なんです。ハンサムだしプレイボーイだけれど、決して軽薄ではない。『品位を感じられるプレイボーイだ』と思った時に、チャン・ドンゴンさんがまず思い浮かびました」と述懐。「彼に話をしてみると、『今までに演じたことがない役。僕もこういう役をやってみたいと思っていた』と言うんですね。『それでは』とすぐに話がきまりました」。
色気たっぷりにイーファン役を演じているが、「これほどにセクシーなチャン・ドンゴンさんというのは、今回が初めてだったんじゃないでしょうか」と胸を張る。「あれだけのハンサムであって、さらに彼はとても“善の人”なんです。もとから、彼が人柄として持ち合わせている善の部分と、イーファンの悪い男の部分が重なることで、チャン・ドンゴンさんの新しい姿が出るのではないかと思いました」。
印象に残ったシーンを聞いてみると、「フェンユーに告白をするシーンですね」と即答。「目に涙をいっぱいためて愛の告白をするんです。見ている側は、『ああ、本当に彼は彼女を好きになったんだな』と思うでしょう。フェンユーにとっても、心が揺らぐ一番のきっかけとなるシーンです。でもその後に、イーファンはフェンユーに背を向けてニヤッと笑うんです。あれは、チャン・ドンゴンさんのアイディアなんですよ。イーファンを象徴する良いシーンになりました」。
チャン・ドンゴンを“善の人”と評するが、撮影中にも彼の努力家ぶりに心を打たれることが多かったそうだ。「今回、チャン・ドンゴンさんには中国語で演技をしてもらいました。本当に頑張って、中国語を駆使してくれました。普通の人では、到底できないことだと思います。撮影の前日には、ほとんど寝ずにセリフを覚えてきてくれて、現場にのぞみます。でも私が、現場でセリフを変えたくなってしまうこともあって(笑)。監督に対してとはいえ、『それはあんまりだ』と怒っても良い場面ですよね。そんな時も彼は、決して不満を言いません。本当に誠実な人です」。
ジノ監督は、『四月の雪』(05)ではペ・ヨンジュンを主演に抜擢。ペ・ヨンジュン、チャン・ドンゴンともに、国際的に活躍するスターとなった。「2人は性格的にはあまり似ていない」と笑うジノ監督だが、ある共通点が存在するという。「2人ともとても繊細な人です。そして誠実に物事に取り組み、なにより理解力・判断力に優れています。ハンサムであるのはもちろんのこと、他の人にはない特別な魅力がありますね。だからこそ、外国の方にも受け入れられるのでしょう」。
また、チャン・ツィイー、セシリア・チャンの演じる女の闘いも見応えたっぷりだ。「劇中で彼女たちが顔を合わせることはさほど多くはないのですが、2人が一緒になるシーンでは自然と、撮影現場もシーン自体も、とても緊張感がありました。やはり美しい女性2人が顔を合わせると、とんでもない緊張感が生まれるものですね」。
チャン・ツィイーの聖女のような美しさ。セシリア・チャンのねっとりとした悪女ぶり。そしてチャン・ドンゴンの魅せるプレイボーイの恋の顛末。彼らの化学反応を、是非ともスクリーンで堪能してほしい。【取材・文/成田おり枝】