モデルはあの「美女と野獣」!? 環境テロリストを描くサスペンス映画とは?
地球温暖化や熱帯林の減少などの問題が叫ばれて久しい昨今、環境問題をテーマの1つにしたサスペンス映画が登場する。エコ・テロリスト集団への潜入調査を行う元FBIエージェントの活躍を描く『ザ・イースト』(1月31日公開)だ。
環境汚染や健康被害をもたらす大企業をターゲットにするテロリスト集団“イースト”。森の隠れ家で暮らす彼らは川で体を洗い、ゴミをあさって再利用するなど、自然に寄り添うように生きている。しかしその一方で、海を原油で汚染した石油王の自宅へ大量の石油を流し込むなど、過激な報復を実行。FBIにもマークされる彼らの実態を探るべく、潜入捜査を命じられた女性エージェント・サラ(ブリット・マーリング)が、任務と正義の間で揺れ動く。
環境破壊への強烈なアンチテーゼをテーマにしている本作だが、じつは隠れたモチーフになっているのが“おとぎ話”だ。劇中、根なし草の生活を強いられるサラはイーストの一員として暮らすうちに、カリスマ的なリーダーに惹かれていく。この展開は、監督のザル・バトマングリが「美女が荒廃した屋敷にやってきて、野獣と恋に落ちるんだ」と言うように、「美女と野獣」そのもの。
他にも「魅力的な森の要塞へヒロインが訪れるシーンには『鏡の国のアリス』のような部分があり、アナーキストのグループは『ピーター・パン』のロスト・ボーイたちのよう」と、美術を担当したアレックス・ディジェルランドが語っている。純粋すぎるほどの理想主義を掲げるイーストが、海賊たちと闘うピーターパンの姿と重なって見えるのだ。
TVドラマ「トゥルーブラッド」で人気を博すアレキサンダー・スカルスガルドのカリスマ的リーダーっぷりや、個性派女優のエレン・ペイジがテロリストの1人して出演していることも見逃せない本作。現代の利己的な環境問題を見つめ直す社会派サスペンスとしてだけでなく、おとぎ話のようなロマンスやヒロイックな物語としても『ザ・イースト』を味わってみてほしい。【Movie Walker】