“アイドルの理想像”が映画館を席巻!「アイドルマスター」が支持される理由とは?
『永遠の0』(公開中)や『トリック劇場版 ラストステージ』(公開中)など300~400館規模の大作が並ぶなか、39館で公開の『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』(公開中)が、週末興行ランキング5位と善戦している。少ない館数で週末2日間で動員8万1262人、興収1億4987万6900円と、1館平均で断トツのハイアベレージを叩き出せたのには、“人気アニメの映画化だから”では言い尽くせない“支持される理由”がある。
“アイドルプロデュース体験ゲーム”から始まった「アイドルマスター」(通称「アイマス」)の歴史は、05年のアーケード版誕生まで遡る。ゲームシステムはもちろん、魅力的なアイドルや多彩な楽曲が評判となり、07年にXbox 360、09年にはPSPへ移植、そして11年にアニメ化と、「アイマス」は進化を遂げてきた。その成長を支え続けたのが、“プロデューサー”と呼ばれるファンの存在。彼らはゲームでアイドルを育てることに留まらず、声優やスタッフをイベントやラジオ番組で応援するほか、動画・イラスト投稿サイトでの創作活動を通じて、ゲームの枠を超えた「アイマス」の世界観を育て、共有してきた。実際「アイマス」は、ゲームやアニメ、楽曲を通じてのほか、ニコニコ動画などで目にした創作をきっかけにファンになった人も多いという。
こうして増えていくファンに、制作陣も真摯に向き合った。アニメ化に際し、ファンからは「プレーヤー=プロデューサーがどう描かれるか?」など心配の声も挙がった。だが、自身も「アイマス」のファンであった錦織敦史監督は、プロデューサーを名前や素性を特定させず見守る立場とし、視聴者が感情移入できる演出を心掛けたほか、13人のアイドルの物語を、彼女たちの歌やダンスと見事にシンクロさせて描き出した。今作も監督以下スタッフが再結集し、成長したアイドルたちが、後輩を迎え、初のアリーナライブに向けて奮闘する姿が描かれている。後輩を交えてのドラマはもちろん、彼女たちがアリーナで主題歌「M@STERPIECE」を丸々1曲披露するクライマックスは、まさにライブを体感しているような臨場感がある。
観客の目線を見失ったエンタメ作が時折見受けられるなか、ファンと制作陣それぞれの思いがキャッチボールされている。それこそ「アイマス」が支持される理由ではないだろうか。今回の映画化は、9年間「アイマス」を愛し続けた人々のプロデュースが結実した“通過点”だ。2月22日(土)、23日(日)には、映画とシンクロするかのように、声優陣による初のさいたまスーパーアリーナ2DAYSライブが控え、ゲームの最新作「アイドルマスター ワンフォーオール」が5月15日(木)に発売予定。映画公開中のいまこそプロデュースに加わる絶好の機会だ!【大場徹】