『ニセ札』監督のキム兄、現場では“お母さん”? 1/2

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『ニセ札』監督のキム兄、現場では“お母さん”? 1/2

芸人、構成作家、料理人、そして『ゆれる』(06)や『少年メリケンサック』(09)など、俳優としても強烈な個性を発揮しているキム兄こと木村祐一。ここ数年、映画界に進出するお笑い芸人の活躍が目覚しいが、中でもとりわけ異彩を放ち、常に「何かやってくれる」感を漂わせている男・キム兄がいよいよ、長編映画監督に挑んだ。

出来上がった『ニセ札』は、実在した戦後最大のニセ札事件を大胆にアレンジ。人望の厚い小学校教頭・かげ子がニセ札作りに加担してゆく姿と、ひと村挙げての一大計画にまで発展していった事件の顛末が描かれる。事件を描くという重いテーマ性にも関わらず、テンポ良し、コミカルで、キム兄流のスパイスをピリリと効かせたエンタテイメント作品に仕上がった。

木村監督、そして倍賞美津子演じるかげ子にニセ札作りをもちかけるという、キーマン・大津シンゴ役を演じたインパルスの板倉俊之。ヨシモトの先輩・後輩コンビに映画を語ってもらった。

いつもニヤリ顔で、なんとも胡散臭〜い小悪党、大津。板倉を抜擢した理由を監督はこう語る。

「板倉以外考えられなかったですね。もう『はねるのトびら』を終わらせてでも(笑)。でも『はねる』の収録は週2日だっていうんで、なんとかお願いして(笑)。ネタとかしょちゅう見てて、コイツならなんでもできると思ってました」

監督に信頼されきっての出演となった板倉は、「僕は、(チラシとか)自分の名前がこんなに前にあっていいのかって思いましたね。でも監督が木村さんだってこともあって、身を委ねきって現場に入りました。ただ、いきなり最初の撮影シーンが倍賞さんに抱きつくシーンだったんです。『おはようございます!』って挨拶して、すぐその後抱きついて。もうちょっと打ち解けてからが良かったなと(笑)」

続けて撮影中のエピソードを明かしてくれた。

「倍賞さんはすごい優しかったです。ひとりでセリフをぶつぶつやってたら、隣に座って、『どこやってんの?』って手伝ってくださって。倍賞さんとのシーンじゃないのに。正直本番より緊張しましたけどね(笑)」

かげ子は、正義感から犯罪に加担してゆくヒロインだ。監督も倍賞の懐の深さを感じて、この役を彼女にお願いしたという。

「彼女の口からだったら、どんな言葉が発せられても受け入れらるんじゃないかという説得力がある。女優ということだけじゃなくて、演技力を超えた部分が人間としてあるからね。人間としての懐の深い人です。お母さんでもあり、恋人でもあり、娘でもあるようなね。一体、何面体なんだ!と。一口で(略して)バイミツといわれてますがね」

板倉「言われてましたっけ(笑)!?」

木村「バイチエ(倍賞千恵子)、バイミツ(倍賞美津子)や!」

板倉「僕はちょっと存じ上げなかったですが(ニヤリ笑)」(2/2ページへ続く)

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