第86回アカデミー賞の主役はブラッド・ピット!
今年もさまざまなドラマが生まれた第86回アカデミー賞だが、今回の主役はブラッド・ピットだったと言われている。
『それでも夜は明ける』のプロデューサーとして出席したブラピは、トム・フォードのタキシードにアンジェリーナ・ジョリーがデザインしたカフスボタンで決め、アンジーを伴ってレッドカーペットを歩いた。
自身がノミネートされていながら、カメラマンがアンジーの写真を撮りたがっているのを心得ているブラピは、常にまわりに気を配るジェントルマンぶりを発揮。そんな一面が授賞式の間も垣間見られた。
授賞式の際、司会者のエレン・ジェネレスに鼻であしらわれたブラピだが、ジョークを楽しそうに受け止め、そそくさとピザやお皿を配り、挙句の果てにはデリバリーピザのチップ代を要求され、20ドル紙幣1枚を支払った。だが、エレンがブラピに、「あれ、1枚だけ?」とケチをつけて帽子を差し出すと、もう1枚(20ドル)帽子に入れたが、「『それでも夜は明ける』でノミネートされてるんだからもっと出しなさいよ」と言われ、憮然とした顔でぶっきらぼうにもう1枚お札を帽子の中に入れるなど、エンターテイナーとしても観客を楽しませた。
また、事前に行われたアカデミー協会主催の、人道主義活動に突出した貢献をした人物に送られるジーン・ハーショルト友愛賞を受賞したアンジーがスピーチをしている姿がモニターに映し出されると、目を潤ませたブラピが、左横に座っていたアンジーの額にキスをし、アンジーがうれしそうに見つめ返すシーンもメディアに大きく取り上げられている。
さらに、ルピタ・ニョンゴが助演女優賞を受賞した際も、興奮したルピタに自ら歩み寄って彼女を抱きしめる一面も。だが、クライマックスはやはり『それでも夜は明ける』が作品賞を受賞した瞬間だった。
誰よりも冷静に壇上に上がり、「うしろに立っているみんなを代表してここでスピーチができることを誇りに思います。そしてこの作品ができ上がったのは、この人の不屈の精神のおかげです」とスティーヴ・マックイーン監督を紹介。舞い上がっているスティーヴ監督が早口でスピーチをしている間も冷静で、壇上に落ちた発表用の封筒を拾うなど、周囲への気配りを常に忘れなかった。『それでも夜は明ける』はブラピが動かなければ製作が実現しなかった作品でもあり、「今年のアカデミー賞の主役はブラッド・ピットだった」と多数のメディアが報じている。
大本命と言われていた作品だが、のちのインタビューでは、「自分がオスカー像をもらえるとは思ってもみなかったので、どこに置くかまったく考えていないんだ」とうれしそうに米TV E!のインタビューで語っており、オスカーを手にしたあとも謙虚な態度は変わっていないようだ。【NY在住/JUNKO】