『アナと雪の女王』アカデミー賞受賞の背景には日本人の存在!?愛される理由は徹底したリサーチにあった!
3月2日(日本時間3日)に発表された第86回アカデミー賞で主題歌賞と長編アニメーション賞を受賞した『アナと雪の女王』(3月14日公開)。すでに全世界興行収入10億ドルを突破し、歴代アニメーションでは『トイ・ストーリー3』(10)に続き2位を記録するなど、大ヒットとなっている。ディズニーアニメーションの歴史を塗り替える快進撃を見せている本作だが、その制作の裏には、日本人クリエーターが関わっているのをご存知だろうか?
ディズニー映画史上、初めての挑戦となったのが“氷と雪の世界”。キラキラと輝く氷の結晶や、はらはらと舞い散る雪の質感は息をのむほど美しい。制作スタッフの一員として参加しているアニマティック/担当アーティストのマット鈴木氏は、実際に札幌の雪まつりに出向き、雪や氷のつき方などを参考にしたと話している。さらに、クリエイティブチームは現実味のある世界観を生み出すため、キャラクターと同じように雪の上を駆け回ったり、雪玉を作って転がしたり、徹底的なリサーチを実施したのだとか。
また、ディズニー映画の楽しみのひとつと言えるのが、オリジナリティあふれるキャラクターたちだ。本作にも、主人公の姉エルサと妹アナと2人のほか、雪だるまのオラフや山男のクリストフら、個性豊かなキャラクターが続々と登場する。本作では、キャラクターの動作が不自然にならないよう、演技指導者を招いたり、ボイスキャストの息継ぎのタイミング、口の動きなどを参考。アナの演技を担当したアニメーターのミユキ・カンノ・ロング氏は、実際にアナの動きを自ら演じ、録画したものを何度も監督に見せたと話している。アナが窓から飛び出してブランコに乗るシーンでは、家族と公園を訪れ、歌を歌いながら演技をしたという。
このような緻密な制作過程については、プロデューサーのピーター・デル・ヴェッコが来日した際にも、アップルストアのイベントで詳細に語っていたが、ストーリーにおいても全監督や脚本家が結集しアイデアを出し合い、何度も脚本を練り直す作業が行われたのだとか。ディズニーでは“共感できるストーリー”“魅力的なキャラクター”“現実味のある世界”という3つの柱を念頭において映画を制作しており、本作はそれらが実を結んだ歴史的な1作と言えるだろう。日本人クリエーターを含め、全スタッフ陣の努力の結晶をスクリーンで確かめてみてほしい。【トライワークス】